ニュース
太陽の300億倍、大質量“超巨大ブラックホール” 大きさも過去最大、英大学発見
英国のダラム大学の研究チームは、太陽の300億倍以上の質量を持つ超巨大なブラックホールを発見したと発表した。
英国のダラム大学の研究チームは3月29日(現地時間)、太陽の300億倍以上の質量を持つ超巨大なブラックホールを発見したと発表した。これは、今まで見つかったブラックホールの中でも最大の大きさという。
このブラックホールを発見するために研究チームは、ブラックホールの重力によって光が屈折する現象「重力レンズ」を利用。英国の天文学の研究機関「DiRAC」のスーパーコンピュータ「DiRAC COSMA8」でのシミュレーション結果と、米航空宇宙局(NASA)の巨大宇宙望遠鏡「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」の観測結果が合致し、今回のブラックホールの発見に至ったという。
なお重力レンズの観測によってブラックホールを発見できたのは、今回が初めて。重力レンズを利用することで、地球から遠くにある非活動状態のブラックホールの発見が可能という。この手法によって今後さらに遠くのブラックホールを発見することなどが期待できるという。
この研究成果は、英国の天文学雑誌「王立天文学会誌」に掲載された。
関連記事
- 天の川の中心にある巨大ブラックホール、初めて撮影に成功 国立天文台など
国立天文台などが参加する研究チームが、太陽系が属する銀河である「天の川銀河」の中心にある巨大ブラックホールの撮影に初めて成功したと発表した。 - 国立天文台が初のクラファン実施 ブラックホール研究に向け目標1000万円
国立天文台水沢VLBI観測所(岩手県奥州市)は、ブラックホール研究の支援金を募るクラウドファンディングを始めた。クラウドファンディングサイト「READYFOR」で6月17日まで募集し、目標支援額は1000万円。目的は、国の予算以外の研究費の確保としている。 - 千葉大、世界最大「模擬宇宙」を作成 全データ量は3ペタバイト 100テラバイトの暗黒物質データを公開
千葉大学などを中心とした国際研究チームは、宇宙の構造をシミュレーションした「模擬宇宙」の作成に成功したと発表。全データサイズは3PB(ペタバイト)。このうち、暗黒物質の構造形成情報に特化した100TBのシミュレーションデータを公開した。 - 超巨大ブラックホールによる131億年前の“銀河の嵐” 国立天文台が観測
- 「事象の地平面」なんてなかった? ブラックホールに新理論、理研が発表 “情報問題”にも筋道
理化学研究所は「ブラックホールは事象の地平面を持たない高密度な物体である」とする、これまでの通説とは異なる研究結果を発表した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.