三井物産、LayerXと個人向け資産運用サービス「ALTERNA」 不動産をデジタル証券化(1/2 ページ)
LayerXと三井物産が出資する三井物産デジタル・アセットマネジメントは、新たに個人向け資産運用サービス「ALTERNA(オルタナ)」を開始した。不動産をデジタル証券(セキュリティトークン)化し、スマートフォンサイトを通じて販売する。1口10万円と小口化することで、若年層への訴求を図る。
LayerXと三井物産が出資する三井物産デジタル・アセットマネジメントは5月22日、新たに個人向け資産運用サービス「ALTERNA(オルタナ)」を開始した。不動産をデジタル証券(セキュリティトークン)化し、スマートフォンサイトを通じて販売する。1口10万円と小口化することで、若年層への訴求を図る。
デジタル証券は、不動産などを証券化した上でブロックチェーンに乗せたもの。2020年5月に施行された改正金商法で定義され、事業化が可能になった。不動産のデジタル証券化を中心に急速に市場が拡大し、22年には182億円規模と、すでに不動産クラウドファンディングの発行額を超えている。
三井物産は、個人投資家向けの資産運用事業へ、総合商社として異業種から参入した形だ。三井物産の仲井隆ー金融事業部は「リアルワールドアセットのトークン化を進める。すでに金を裏付けにしたジパングコインを販売しており、今回のALTERNAは、これに続くサービスだ」と話した。
LayerXが処理を自動化 運用報酬0.2%から0.05%を目指す
資産運用の裏側の処理を、ソフトウェアを用いて自動化を進めるのが同社に35%を出資するLayerXだ。経理や決算書をはじめ各種報告書を自動作成するだけでなく、契約や発注もデジタル化。OCRを使ったデータ入力補完やLLMを使った文書作成補助なども行う。
こうしたデジタル化により生産性を向上。一般のREITの場合で0.3〜0.6%程度といわれる運用報酬を、三井物産デジタル・アセットマネジメントでは0.2%に抑えており、今後は0.05%を目指すとしている。投資信託におけるインデックスファンドでは、信託報酬などのコスト競争が加熱しているが(記事参照)、不動産投資ファンドにおいても同様にコストが重要になることを見込む。
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