緑茶はグラスの“厚さ”で味が変わる? 中央大らが発表 飲み口が厚いと甘く、薄いと苦くなる
緑茶の味はグラスの厚みが影響する──中央大学と北海道大学、東京大学の共同研究チームは、そんな研究成果を発表した。飲み口が厚ければ緑茶の甘味が増え、薄いと苦みが増えると分かったという。
グラスの厚みが緑茶の味に影響を与える──中央大学と北海道大学、東京大学の共同研究チームは6月2日、そんな研究成果を発表した。同じ材質と手触りを持つグラスでも、飲み口が厚ければ緑茶の甘味、薄いと苦みを感じやすくなると分かった。
容器の色や形状、手触りなどの視覚・触覚情報が味覚に影響を与えるという先行研究を受け、飲料を飲むときに常に触れる容器の飲み口に注目。唇から伝う触覚の情報が飲み物に与える影響を評価した。
実験では、厚みの異なる2種類のグラス(薄いグラスは1.2mm、厚いグラスは2.8mm)に常温の緑茶を用意。目隠しをした人たちにそれらを飲ませ、各グラスで飲んだ緑茶の甘味や苦み、酸味、まろやかさ、コク、清涼感、おいしさを評価してもらった。
結果、厚いグラスでは薄いグラスよりも甘く、薄いグラスでは厚いグラスよりも苦く評価されたという。また、グラスの重さが与える影響も調べたところ、重さも味覚に与える影響があると判明。厚みと重さが自然な組み合わせであったとき、緑茶の味はグラスの厚みの影響を受けると分かった。
この成果から研究チームは「飲食店が望む甘味や苦味の体験をしてもらうには、適切な厚みのグラスを選択する必要がある」と説明。また、近年増えている紙製のストローについても「同じ飲料でもこれまでと異なる味覚を知覚している可能性がある」とし、プラスチック製ではないストローが与える味覚への影響について言及している。
この研究成果は科学雑誌「Food and Humanity」に5月27日付で掲載された。
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