3980円のスマートロック「SESAME5」の実力 子どもの“カギ忘れ”対策で導入、効果は?:小寺信良のIT大作戦(4/4 ページ)
スマートロックのブランドとしては比較的老舗のSESAMEが、新モデル「SESAME 5」をリリースしたというニュースを知った。公式サイトで価格を見ると3980円と、破格に安い。筆者のようなスマートロック初心者には、失敗しても諦めが付く価格ということで、早速導入してみた。
便利な機能もあるが……
その他、便利な機能としては、スマホが特定の距離内に入った際に自動的に解錠する、「手ぶら解錠」という機能もある。
例えばマンションの駐車場に車を止めると、部屋に戻るまでには鍵が開いているというわけだ。両手いっぱいに荷物を持って帰って、ドア前でえーとカギカギ、と探さなくてもよくなるわけである。
ただこの機能、Bluetooth接続だけでは使えず、別売のWi-Fiモジュールが必要になる。考えてみれば当たり前で、微弱電波のBluetoothが金属の扉越しに20mも50mも飛ぶわけがないのである。
専用Wi-Fiモジュールは他のSESAMEシリーズと共通なので、1つ2980円である。3980円のスマートロックに2980円のモジュールを付けるのもどうなの、と思っているところではあるが、もう1つ矛盾もある。
例えば駐車場に車を止めても家には戻らず、そのまま徒歩で外食に行ったような場合は、自動でカギが開いてそのままになるわけである。こうした隙を埋めるために、一定時間経ったら自動的にカギが閉まる「オートロック」という機能と併用する必要がある。
ただ家に誰かいるのに毎回毎回自動で施錠されるのも、帰ってくる者にとっては面倒な話である。やるなら全員が手ぶら解除とオートロックの設定が必要になるのだが、ゲスト鍵にはこの設定がない。子どもたちには勝手に設定を換えたりしないようゲスト鍵を渡してあるので、子どもたちが不便になってしまう。
そんなわけで取りあえず、Wi-Fiモジュールはいいか、ということになっている。導入して1カ月あまりだが、子どもたちもスマホは持っていくのを忘れないので、閉め出される心配はなくなった。またカギをなくしただのといった管理も不要になったので、皆カギは家に置いて出るようになった。これも1つのセキュリティの形であろう。
家族全員で出掛ける時も、最後の者がカギを閉めるという習慣もできた。これがなければ、物理鍵をいつも持っている筆者が最後に出ないといけなかった。
難点は、外から開けるときは、スマホのロックを解除してアプリを起動し、Bluetoothが認識するまで数秒のタイムラグがあることだ。物理鍵で開けた方が時間的には早いが、暗い中でカバンの中からごそごそ鍵を探す手間がない点ではメリットもある。
スマートロックの登場から8年、いまさらながら導入してみたが、かなり洗練されているように思える。買い切り商品なので、ハードウェアとソフトウェアがいつまでも最新OSに付いて行けるわけではないと思うが、このぐらいの価格であれば定期的に買い換えても負担はない。鍵が変わることで、セキュリティの向上も見込めるだろう。
IoTの中でも、スマートスピーカーより全然役に立つデバイスであった。
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