「こだわりの味」を再現するために超えた壁、タイガーの「サイフォニスタ」:知らないと損!?業界最前線(5/5 ページ)
自動サイフォン式という珍しさもあって、人気のコーヒーメーカーがタイガー「サイフォニスタ」。なぜ自動コーヒーメーカーでサイフォン式を採用したのか、コーヒーの香りと味の秘訣はどこにあるのか。企画を担当したタイガーの和泉修壮さんに話を聞いた。
デビューはアメリカ、タイガーの屋台骨になりたい
「サイフォニスタ」のデビューは、米国のクラウドファンディングサイト「Kickstarter」のプロジェクトとしてだった。22年4月13日〜5月17日に登場し、2万ドル(約260万円、当時)の目標を4日で達成、最終的には5万4261ドル(約700万円、当時)の支援を集めた。そして今年2月21日、日本国内でも発売を開始した。
「もともと当社は、北米での認知がほぼない状態でした。それもあり、プロモーションとしてクラウドファンディングというプラットフォームを使いました。『サイフォニスタ』はターゲットをアーリーアダプターに絞った製品なので、まずは北米でフィードバックをもらい、そのうえで日本での一般販売を行うことを考えました」(和泉さん)
ターゲットはアーリーアダプターと語ることからも分かるとおり、サイフォニスタは炊飯器のように数多く売れる製品だとは考えていなかった。そして国内での出荷開始から約4カ月が経過した現在の売れ行きは、事業化の時点で立てた計画通りだという。また6万円を超す高価な製品だけに、実機が置いてある量販店での販売が中心になると考えていたが、実際には自社ECを含めたオンラインでの販売が好調な点は予想外だったそうだ。
同社初めての高級コーヒーメーカーであるサイフォニスタは、コーヒー関連商品が炊飯器、真空断熱ボトルに並んでタイガーを支えるカテゴリーになることを目指す。その前哨戦としてグローバル市場を見据え、アメリカで先に販売した。グローバル市場を見据えたため、ロゴも目立つ位置にあえて入れなかったという。
徹底的にこだわり抜き、タイガーのさまざまな技術を投入して生み出したサイフォニスタは、これまでにない個性が際立つコーヒーメーカーだ。和泉さんのスペシャルティコーヒーへの思いと、それに応えた開発陣が生み出した。
とはいえ、会社を支える3本柱の1つになるには、これだけではまだ不十分だ。サイフォニスタに続く、さらなるコーヒー関連製品を期待したい。
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