ネットでバズった“レトロ扇風機”誕生の舞台裏:知らないと損!?業界最前線(2/4 ページ)
小泉成器の「ミニ扇風機」がSNSを中心にネット上で話題を集めている。昭和を感じさせるレトロなデザインに、高さ40cm程度の小さめ設計を採用。昭和風の懐かしい扇風機が、令和のいまどうして生まれたのか。開発担当者に話を聞いた。
約50年前の扇風機を再現
「きっかけは小型扇風機の開発でした。すでに世の中にある製品とどのように差別化するかを考えるうちに、何か面白いもの1つを作りたいと思ったのです」(折本さん)
さまざまなアイデアを生み出す中で出てきたのが、子供の頃に使っていた昭和の扇風機の記憶だった。昭和風のレトロなデザインを採用した家電が、他のメーカーから出ていることは知っていた。そこで、あのデザインを扇風機に採用するのはどうかと考えた。この提案を約1年前に社内でしたときは、賛否両論があったという。
「『扇風機は面白くても売れないと思う』っていう意見もありました。家電製品の開発ではどうしても機能に意識が行きがちで、さらにこれまで当社ではこういった遊び心のある製品をあまり作ってこなかったこともあり、社内の反応にはいろいろなものがありました」(折本さん)
さまざまな反応はあったものの開発がスタート。このとき小泉産業時代に作っていた扇風機をベースにしたという。小泉成器はもともと、1989年に小泉産業の照明事業を分離してできた会社。しかし昭和40年代の代物だったため、社内には製品が1台も残っておらず、さらに当時の開発担当者もいないため、結局ゼロベースでの開発になったという。
「デザインを重視した家電という意味では、当社も理美容家電などでスタイリッシュな製品を手掛けているので経験はあるのですが、今回は方向性が違いました。いまの世の中、扇風機にこんなガードを採用した製品はありませんし、大ぶりのボタンのものもないと思います。逆に、そういった部分にはこだわりました」(折本さん)
とはいえ、昔の扇風機をそのまま作っても意味はない。そこで本体サイズを小さくて卓上にも設置できるようにサイズダウンした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
裏話を語るYouTubeが話題 V字回復でトップシェアの「レグザ」に聞いた
日経新聞が1月6日、レグザの国内テレビ首位を報じた。レグザブランドは2006年発足。順調にシェアの伸ばすが、東芝の不正会計疑惑などで人気は急降下する。現在世界第2位のテレビメーカー・ハイセンスの傘下となったのが18年だ。このV字回復の軌跡を聞いた。
全自動炊飯器も登場!? 23年注目「3つ」の家電カテゴリー
新型コロナウイルスの世界的な広がりから3年。2023年が幕を開けた。今回は、アフターコロナが加速するはずの今年、盛り上がりが予想される注目の家電カテゴリーを3つ紹介したい。1つ目は炊飯器市場、次にノンフライ調理器市場、最後にポータブル電源市場だ。
パナの若者向け「食洗機」出足好調 6割が「必要ない」という世代にどう挑んだか
パナソニックからお一人様向けの食器洗い乾燥機が登場した。工事不要のタンク式でコンパクトな点が特徴だ。すでに従来品の約3倍のオーダーがあるという。普及率が3割未満という食器洗い乾燥機市場で、6割が「必要ない」とする世代に対し、パナソニックはどう挑んだのか。
パナソニック「指定価格制度」 家電量販店はどう捉えているのか?
パナソニックが「メーカー指定価格」を導入し、話題になっている。一部のフラグシップモデルで販売価格を指定し、値引きを認めないというものだが、家電量販店は在庫リスクを負わずに済む。「指定価格」により、家電量販店は今後どうなっていくのか。また他メーカーは追従していくのだろうか。
昭和の「東芝扇風機」がカプセルトイに 回らないけど首は振る
ケンエレファントは4日、昭和の頃に東芝が販売していた扇風機をミニチュア化し、カプセルトイとして販売すると発表した。1回500円。
