ネットでバズった“レトロ扇風機”誕生の舞台裏:知らないと損!?業界最前線(4/4 ページ)
小泉成器の「ミニ扇風機」がSNSを中心にネット上で話題を集めている。昭和を感じさせるレトロなデザインに、高さ40cm程度の小さめ設計を採用。昭和風の懐かしい扇風機が、令和のいまどうして生まれたのか。開発担当者に話を聞いた。
量販店の反応も上々、販路も拡大
「ミニ扇風機」は発売後、すぐにSNSで盛り上がりを見せた。それは小泉成器がマーケティングとして仕掛けたものではなく、あくまで自然発生のものだという。折本さん自身も、あとからSNSで話題になっていると聞き、「コイズミという名前を知ってもらうきっかけになったのが良かった」と語る。
さらに家電量販店の反応も良かった。機能や価格の話が中心になりがちな商談では、「ミニ扇風機」の目新しさが役立ったという。これまで小泉成器では、機能や価格以外での引きがある製品をあまり手掛けてこなかったため、かえって好意的に受け入れられたのだそうだ。
「バイヤーの方々は常に新しい商品を探してらっしゃるので、こういう商品が1つあると商談の雰囲気が変わりますね」(折本さん)
さらに「ミニ扇風機」は、これまであまり取引がなかった雑貨店やインテリアショップからの引き合いもあり、コイズミブランドの認知と販路の拡大のきっかけを生み出しているのだという。
古い扇風機など昭和時代のレトロな家電は、デザイン面などでトレンドの一つになっているものの、モーターが焼けるといったリスクもあり、当時の製品をそのまま使うことは推奨されていない。
しかし、この「ミニ扇風機」は当時のデザインを踏襲しつつ、安全かつ快適に使用できる。デザインや使い勝手は当時のまま、風の品質や設置スペースは現代に合わせて最適化されていることで、一層の支持を集めているようだ。
折本さんによると、現状の売れ行きは計画通りとのことだが、より暑さが厳しくなったとき、さらなる注目を集める可能性もあるだろう。
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