NECがAWSの“オンプレクラウド”導入 実証実験の場で顧客に開放
NECは7月7日、AWSの機能をオンプレミス環境で利用できる「AWS Outposts」を導入。自社だけでなく顧客やパートナー企業にも提供し、サービス開発やDX支援につなげる。
NECは7月7日、AWSの機能をオンプレミス環境で利用できる「AWS Outposts」を導入したと発表した。5G通信などを活用したサービスを実証・検証する場「NEC CONNECT 5G Lab」で活用。自社だけでなく顧客やパートナー企業にも開放し、サービス開発やDX(デジタルトランスフォーメーション)の支援につなげる。顧客などへの提供を前提にAWS Outpostsを導入する例は、日本ではNECが初という。
AWS Outpostsは、米Amazon Web Servicesが提供するインフラやクラウドサービスの一部を、オンプレミスでも利用可能にするサービス。自社の拠点内にあるサーバしか使えない決まりの企業でもAWSを使える他、サーバを遠隔地に置く必要がないので、より低遅延な通信環境が必要なときなどにも利用できる。
米Microsoftの「Azure Stack」や米Oracleの「OCI Compute Cloud@Customer」など、類似の競合サービスと合わせて“オンプレクラウド”などと呼ばれる場合もある。日本ではNECの他にも、NTTコミュニケーションズなどが導入し、自社用の検証環境を構築している。
NECはAWS OutpostsのサーバをNEC CONNECT 5G Labに設置し、AWSのサービスと、5G・ローカル5Gといった技術を組み合わせたサービスの検証をより低遅延に行えるようにする。すでにパートナー企業のアプドポッド(東京都新宿区)に提供しており、同社のIoTプラットフォーム「intdash」をAWS Outpostsで動かすことで、よりリアルタイムに近い形でIoT機器を動作させられることを確認したという。
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