電動キックボードの事故、けがのリスクはどの程度? JAFが検証
JAFが、電動キックボードで事故を起こしたとき、運転者や周囲の人が被るけがのリスクについて検証する動画を公開した。想定される事故の状況をダミー人形で再現。頭部に加わる衝撃の大きさを確かめた。
日本自動車連盟(JAF)は7月14日、電動キックボードで事故を起こしたとき、運転者や周囲の人が被るけがのリスクについて検証する動画を公開した。想定される事故の状況をダミー人形で再現。頭部に加わる衝撃の大きさを確かめた。
動画では、(1)縁石に乗り上げて転倒した場合、(2)歩行者・自転車に衝突・転倒した場合、(3)自動車に衝突・転倒した場合──の頭部の加速度を基に、脳や頭蓋骨の損傷度を示す数値「HIC」がどうなるか検証した。電動キックボードは「YAEDA KS5 PRO」という製品のプロトタイプを使った。
例えばヘルメット非着用時、時速20kmで縁石に乗り上げ、頭から転倒した場合のHICは約7766だった。HICは1000を超えると頭部や脳機能障害のリスクが出ることから「頭部へ重度の傷害リスクがある結果」(JAF)としている。一方、ヘルメットを着用した場合でもHICは約1231で「頭蓋骨骨折のリスクもある数値」(JAF)という。
さらに(2)や(3)の実験では、歩行者や自転車、自動車に衝突したときより、その後転倒したときのほうがHICが大きく、頭部への影響も大きいことが分かった。特に、ヘルメットを着用していない運転者や歩行者が転倒したときのHICが大きかった。結果を受け、JAFはヘルメットを正しく着用した上で電動キックボードを運転するよう呼び掛けている。
電動キックボードを巡っては、政府が1日に改正道路交通法を施行。最高速度が時速20km以下など一定条件を満たす電動キックボードを「特定小型原動機付自転車」と区分し、16歳以上であれば免許不要で乗車できるようにした。乗車時のヘルメット着用は努力義務。さらに「特例特定原付」の条件を満たす車両は時速6km以下で歩道も走行できる。
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