“エヴァフォント”開発元のフォントワークス、業界最大手の米Monotypeが買収【訂正あり】
ソフトバンク傘下のSBテクノロジー(SBT)が、フォントワークスを米Monotypeに売却する。フォントワークスは、アニメーション作品「エヴァンゲリオン」シリーズで使用された「マティスEB」などの開発元で知られる。
ソフトバンク傘下のSBテクノロジー(SBT)は7月19日、同社子会社のフォントワークスについて、米Monotypeに売却すると発表した。売却額は非公開だが、SBTは2024年3月期第2四半期連結会計期間において、フォントワークス株式売却と無形固定資産の譲渡益62億円を特別利益として計上する予定。
フォントワークスは、アニメーション作品「エヴァンゲリオン」シリーズで使用された「マティスEB」などの開発元で知られる、1993年設立のフォントメーカー。国内のテレビ局の95%、国内のゲーム会社トップ10の98%がフォントワークスの書体を使用しているなど、特にコンテンツ産業との関わりが深いことで知られる。
フォントワークスは、2013年にSBTが連結子会社化し、同社のEC領域の事業拡大に貢献してきたという。しかし、SBTがクラウドやセキュリティに戦略をシフトする中、フォントワークスのさらなる成長が追求できる場として、Monotype米国本社/日本法人による事業運営が有益だと判断。譲渡に合意したという。
Monotypeは、欧文フォント「Times New Roman」や「Arial」などの開発で知られており、「Helvetica」や「Gotham」などの権利も有する世界的なフォントメーカー。同社にとって今回の買収は、日本で初めての買収案件となる。
今回の売却により、フォントワークスの株式はMonotype日本法人へ、フォントワークスの特許、商標などの無形固定資産の一部はMonotype米国本社に譲渡される。また、デザイナーやエンジニア、営業、経営管理など73人のチームと、IP/テクノロジーや「LETS」「mojimo」「FONTPLUS」などの各種サービスがMonotypeファミリーに加わることになる。
【訂正:2023年7月19日午後6時 当初、タイトルを「62億円で売却」と表記しておりましたが、売却額は非開示で、正しくは会計上の譲渡益として62億円が特別利益に計上されるとのことから、タイトルを修正しました。おわびして訂正いたします】
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