「生成AIは著作権保護の検討が不十分」新聞協会など声明 「著作権法30条の4は大きな課題」
新聞協会など4団体は、生成AIにまつわる著作権保護策の再検討を求める共同声明を発表した。日本の著作権法第30条の4が「諸外国に比べ、AI学習に極めて有利に作られていることは大きな課題」と指摘している。
日本新聞協会など4団体は8月17日、生成AIにまつわる著作権保護策の再検討を求める共同声明を発表した。日本の著作権法第30条の4が「諸外国に比べ、AI学習に極めて有利に作られていることは大きな課題」と指摘。AIに学習させる著作物データの保護をめぐり、権利者団体と関係当局の意見交換を求めている。
声明を出したのは、新聞協会と日本雑誌協会、日本写真著作権協会、日本書籍出版協会。
生成AIは、ネット上の大量のデータを、著作者の同意なく学習して開発されているケースが多い。日本では、著作権法第30条の4により、このデータ収集は、「著作権者の利益を不当に害する」場合はを除き、著作権を侵害しないとされている。
声明では「学習利用の価値が著作権者に還元されないまま大量のコンテンツが生成されることで、創作機会が失われ、経済的にも著作活動が困難になる」「海賊版をはじめとする違法コンテンツを利用した、非倫理的なAIの開発・生成が行われる」「元の作品への依拠性・類似性が高い著作権侵害コンテンツが生成・拡散される」といったリスクを指摘。
著作権法に30条の4が追加された2018年の法改正では、「生成AIのような高度なAIの負の影響が十分に想定されていたわけではない」と述べ、「著作権法改正の必要性を見極める必要がある」と指摘し、「生成AIが文化の発展を阻害しないよう、技術の進化に合わせた著学研保護策が改めて検討されるべき」としている。
関連記事
- JASRAC、生成AIに対する姿勢を表明 可能性認めつつも「懸念抱かざるを得ない」 声明全文
JASRACが、生成AIに対する考え方について声明を出した。その可能性を認めつつも「AI開発事業者によるフリーライドが日本においては容認されるとする見解が散見されるため、大きな懸念を抱かざるを得ない」と、現状の使われ方には危機感を示している。 - 電子情報通信学会、生成AIについて立場表明 「研究の停止は望ましくない」「社会問題の解決に協力する」
電子情報通信学会が、生成AIについて、生成AIには正と負の両面があるとした上で、学会としては技術貢献をしていくが、社会・政策的議論の結論に従うとの立場を示した。 - OpenAIやDeepMindのCEOやトップ研究者ら、「AIによる人類絶滅リスク」警鐘声明に署名
著名なAI研究者、エンジニア、CEOらが「AIによる絶滅の危険性を軽減することを世界的優先事項にすべき」という声明に署名した。署名者にはヒントン博士、OpenAI、DeepMind、AnthropicのCEOなどがいる。Metaのルカン博士やマスク氏、MicrosoftやAmazon、IBMは署名していない。 - Google、報道機関向けAI提供を検討中 New York Timesは不安示す
米New York Timesは、米Googleが報道機関に執筆支援AIを売り込んでいると報じた。記事ではAI活用に対する不安や懸念も述べているが、Googleは「ジャーナリストの役割を果たすものではない」としている。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.