「公衆電話」ますます見つけにくく 数年後には現在の3分の1に
9月11日は「公衆電話の日」。災害発生時に加え、携帯電話の通信障害でも活躍した公衆電話だが、今後数年でかなり減ることになっている。
9月11日は「公衆電話の日」。語呂合わせなどではなく、1900年(明治33年)に新橋駅と上野駅の構内に日本初の「自動公衆電話」が設置されたことに由来する。当時は交換手を呼び出し、お金を投入してつないでもらう仕組みだったようだ。
ピークの1984年には日本全国に93万4903台もあった公衆電話だが、携帯電話の普及によって利用者は減少。現在は災害発生時などの緊急連絡手段として、およそ10万9000台を維持している状況だ。しかも2031年度末までに約3万台まで減ることになっている。
公衆電話はNTTの東西地域会社に設置が義務づけられているもので、維持費はユニバーサルサービス交付金などで賄われる。しかし22年の電気通信事業法施行規則の一部改正で公衆電話の設置基準が緩和され、従来の3分の1程度の数で良いことになった。
22年6月にNTT東西がまとめた資料によると、設置基準は2万7000台程度で満たせるものの、設置場所の都合などもあり約3万台を目安に減らす方針だという。両社は2031年度末までに削減を完了する方針で、削減する8万台近くのうち6割を当初5年間で減らす考えだという。
23年度中にもNTT東日本で約5000台、NTT西日本で約4000台を廃止する計画だ。NTT東西は「ユニバーサルサービス交付金の低減による国民・利用者の負担軽減が見込める」としている。
一方で近年は災害発生時に加え、携帯電話の通信障害で公衆電話が注目を集めることもあった。22年7月に発生したauの大規模通信障害では、SNS上に「久しぶりに公衆電話を使った」といった投稿が相次ぎ、緊急通報でも公衆電話からの通報が増えたという。
台数の削減により、今後は今まで以上に見つけにくくなると予想される公衆電話。いざという時のために、近隣の設置場所は把握しておきたい。NTT東西はWebサイトに「公衆電話設置場所検索」を用意している。
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