焼けた肉を盤上で切ってそのまま口の中へ バルミューダのホットプレートが目指した“体験”、開発者に聞く:知らないと損!?業界最前線(2/5 ページ)
バルミューダがホットプレート「BALMUDA The Plate Pro」を発表した。扇風機やトースターなどで人気の同社だが、参入したスマートフォン事業は2年で撤退するなど迷走も見えた。起死回生を図るこのホットプレートについて、開発の経緯や目指す姿などを担当者に聞いた。
プロジェクトは5年前に始動するも、一度は断念
「BALMUDA The Plate Pro」は6.6mm厚のクラッドプレート(性質の異なる複数金属を張り合わせた鋼材)を採用したホットプレートだ。最大の特徴は表面にあえてコーティングを施していないこと。一般的なホットプレートは食材の焦げ付きを防ぐためにフッ素加工などのコーティングが施されている。しかし本機にはないため、鉄板焼き店のように金属のヘラや包丁がプレートの上で使えるのだ。
またトースターやコーヒーメーカーの製造で培った正確な温度制御機構も搭載。マイコン制御のサーモスタットを採用することで、プレート表面の温度差を±5℃の範囲に留めているという。この2つの特徴により、従来の電気ホットプレートとは一線を画す製品になっている。しかし、この形になるまで紆余曲折があったそうだ。
「もともとは、キッチン商品のラインアップを増やしたいと考えていた19年頃、ホットプレートの企画もありました。実際にいろいろなホットプレートを買って試したり、七輪と比較したり、いろいろなことを試していました。ただ家庭用電源の1500Wでは火力が足りず、考えているような製品ができないと、一度は断念しました」(比嘉さん)
そして21年、同社に料理人である岡嶋伸忠シェフが入社し、再びキッチン製品の企画が動き出す。岡嶋シェフのアイデアを元に、少人数で再びホットプレートの製品化を検討し始めたという。このときはまだ正式なプロジェクトではなく、業務の空き時間や昼休みなどを利用してわずか数人で取り組んでいたそうだ。
「岡嶋シェフの提案が極厚のプレートでした。以前の断念したときは、単なるデザイン重視の製品を作っても仕方がないと思っていたのですが、極厚のプレートによる焼き上がりは美味しい。これなら、と企画が進んで行きました」(比嘉さん)
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