焼けた肉を盤上で切ってそのまま口の中へ バルミューダのホットプレートが目指した“体験”、開発者に聞く:知らないと損!?業界最前線(4/5 ページ)
バルミューダがホットプレート「BALMUDA The Plate Pro」を発表した。扇風機やトースターなどで人気の同社だが、参入したスマートフォン事業は2年で撤退するなど迷走も見えた。起死回生を図るこのホットプレートについて、開発の経緯や目指す姿などを担当者に聞いた。
「極厚」プレートの開発で難航
目指したのは、ホットプレートというよりは家庭で使える鉄板焼きだ。そうなると次に求められるのが美味しさと、家庭で使えることの両立だ。分厚いプレートを採用すると蓄熱性が増し、食材が美味しく焼ける。しかしその反面、重くなるため使い勝手は悪くなり、さらに予熱に時間がかかってしまう。
「プレートの材質、厚みの設定には一番苦労しました。クラッド鋼板に絞ったあともアルミとステンレスで、それぞれ異なる厚みのモデルを何種類もつくって肉とプレートの温度を計り、試食しながら理想のプロファイルになるプレートを探しました」(岸本さん)
業務用の21mmのインゴット(地金)からテストをスタート。鉄やアルミ、銅などの素材、厚さ、表面加工などを変え、合わせると50種類以上のプレートを実際につくって試したと岸本氏は語る。そうして決定したのが、ステンレス、アルミ、ステンレスの3層構造で、6.6mm厚のクラッドプレートだ。200℃までの予熱にかかる時間は約13分で、一般的なホットプレートと比べても大差はない。それでいてしっかりと熱を蓄え、加熱できる。プレート単体の重量は2.8kgなので、女性でも持てる。
表面は油の馴染みなどを重視し、粗めのバイブレーション研磨(ランダムに円を描きながら研磨する方法)を採用した。表面コーティングがないので包丁を使ったり、金だわしで磨くこともできる。まさに鉄板焼き店の鉄板のように使えるのだ。
関連記事
- 「こだわりの味」を再現するために超えた壁、タイガーの「サイフォニスタ」
自動サイフォン式という珍しさもあって、人気のコーヒーメーカーがタイガー「サイフォニスタ」。なぜ自動コーヒーメーカーでサイフォン式を採用したのか、コーヒーの香りと味の秘訣はどこにあるのか。企画を担当したタイガーの和泉修壮さんに話を聞いた。 - 世界トップ「ルンバ」、猛追の中国勢から市場を守れるか 23年ロボット掃除機トレンド
新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、以前の事情生活が戻ってきた。リモートワーク中は隙間時間にできた家事をしにくくなっている人もいるだろう。そんななか家事をサポートする自動化家電が続々登場。なかでも特に市場での存在感が大きくなりそうなのが、中国勢が手掛けるロボット掃除機だ。 - ネットでバズった“レトロ扇風機”誕生の舞台裏
小泉成器の「ミニ扇風機」がSNSを中心にネット上で話題を集めている。昭和を感じさせるレトロなデザインに、高さ40cm程度の小さめ設計を採用。昭和風の懐かしい扇風機が、令和のいまどうして生まれたのか。開発担当者に話を聞いた。 - バルミューダの流れをくむ「雑貨家電」という新潮流 〜誕生の背景と課題
近年、デザイン性が高く、雑貨店で流通する「雑貨系家電」が注目を集めている。小さなメーカーやほぼ知られていないブランドの製品が、駅ナカやイオンモールなどの雑貨店で販売され、人気を得ているのだ。小さな会社やブランドが家電を企画〜販売するようになった背景や人気を得ていった経緯、今後の課題を紹介する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.