焼けた肉を盤上で切ってそのまま口の中へ バルミューダのホットプレートが目指した“体験”、開発者に聞く:知らないと損!?業界最前線(5/5 ページ)
バルミューダがホットプレート「BALMUDA The Plate Pro」を発表した。扇風機やトースターなどで人気の同社だが、参入したスマートフォン事業は2年で撤退するなど迷走も見えた。起死回生を図るこのホットプレートについて、開発の経緯や目指す姿などを担当者に聞いた。
有名ステーキ店のような仕上がりを家庭で
実際に「BALMUDA The Plate Pro」でさまざまな食材を焼いてみた。設定温度は200℃。ホットプレートの温度としては低いが、ヒーター加熱時の温度制御マイコンで行っているため、温度の上下がなく、常に200℃で焼ける。さらにこの温度なら油煙が出ない点もメリットだ。
油をひいた後、肉を載せると香ばしく焼ける音が響く。このとき、あふれ出るドリップ(肉汁や脂などの水分)が少ないことに驚く。肉を置くとすぐにスイッチ横のLEDが点滅し、すばやく温度調整を行っているのが分かる。常温の肉を置いたことで、プレート表面の温度が下がったことを検知し、加熱しているというわけだ。これはマイコン式だからできる早さだ。
そしてドリップが出ないため、肉の表面がカリカリに焼ける。煮たようにはならないのだ。両面がカリカリに焼けたステーキはその場でカット。よく焼いた方が良ければ、そのまま断面も焼ける。もちろんそのまま口に運んでもいい。いちいちお皿にとってカットする手間がない分、より熱々で食べられる。それはまさに鉄板焼き店やステーキハウスの体験だった。
ホットプレートとみると、4万円を超す価格は高価だ。しかし、これまで家庭では難しかった鉄板焼きやステーキハウスの“体験”ができる家電、と考えれば決して高くはない。この新しい美味しさの発見と価値観の提案は、バルミューダがかつてトースターで起こした革命に近い。少なくとも「BALMUDA The Plate Pro」は、それに近い体験ができた。
関連記事
- 「こだわりの味」を再現するために超えた壁、タイガーの「サイフォニスタ」
自動サイフォン式という珍しさもあって、人気のコーヒーメーカーがタイガー「サイフォニスタ」。なぜ自動コーヒーメーカーでサイフォン式を採用したのか、コーヒーの香りと味の秘訣はどこにあるのか。企画を担当したタイガーの和泉修壮さんに話を聞いた。 - 世界トップ「ルンバ」、猛追の中国勢から市場を守れるか 23年ロボット掃除機トレンド
新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、以前の事情生活が戻ってきた。リモートワーク中は隙間時間にできた家事をしにくくなっている人もいるだろう。そんななか家事をサポートする自動化家電が続々登場。なかでも特に市場での存在感が大きくなりそうなのが、中国勢が手掛けるロボット掃除機だ。 - ネットでバズった“レトロ扇風機”誕生の舞台裏
小泉成器の「ミニ扇風機」がSNSを中心にネット上で話題を集めている。昭和を感じさせるレトロなデザインに、高さ40cm程度の小さめ設計を採用。昭和風の懐かしい扇風機が、令和のいまどうして生まれたのか。開発担当者に話を聞いた。 - バルミューダの流れをくむ「雑貨家電」という新潮流 〜誕生の背景と課題
近年、デザイン性が高く、雑貨店で流通する「雑貨系家電」が注目を集めている。小さなメーカーやほぼ知られていないブランドの製品が、駅ナカやイオンモールなどの雑貨店で販売され、人気を得ているのだ。小さな会社やブランドが家電を企画〜販売するようになった背景や人気を得ていった経緯、今後の課題を紹介する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.