新聞紙で炊くタイガーの炊飯器、開発のきっかけは「もったいない」だった 廃棄内釜を災害対策に:知らないと損!?業界最前線(4/4 ページ)
タイガー魔法瓶からちょっと変わった炊飯器「魔法のかまどごはん」が登場する。熱源は電気ではなく「炎」。同社100周年と関東大震災から100年の2023年に、防災グッズとして提案。キャンプ需要や学校教育なども想定する。開発の経緯や目指す世界について、製品のプロジェクトリーダーに話を聞いた。
BtoB向けには、廃棄する内釜を採用
オンラインストアで購入できる一般向けの「魔法のかまどごはん」には、専用の内釜を開発。その代わり行政や学校などに向けて販売しているBtoBモデルでは、補修用部品として保有していた未使用の内釜を採用する。これまで廃棄するしかなかった内釜を利用することで、村田さんが当初、課題として感じていた内釜の廃棄問題をクリアしている。
23年5月に国立オリンピック記念青少年総合センターでBtoBモデルが導入されて以降、BtoCモデルの開発に着手し、今回の一般発売に至ったというわけだ。
この数十年、日本国内では地震や台風、豪雨など多くの災害が発生しており、避難所生活を余儀なくされるケースが増えている。また停電が発生するとほとんどの家電製品は使えない。「魔法のかまどごはん」が目指したのは、そんなシーンでも温かいご飯を手軽に炊ける世界だ。さらにご飯だけでなくおかず調理もできるので、温かいおかずもつくれる。
内釜の廃棄問題から生まれた「魔法のかまどごはん」だが、廃棄ロスを減らすというサステナビリティだけでなく、子どもたちへの防災学習や炊飯体験にも貢献している点が高く評価されている。
普段はアウトドアシーンなどで利用でき、さらに災害時などのいざというときにも温かい食事がつくれる。いつでもおいしいご飯が楽しめるのが、「魔法のかまどごはん」のある暮らしなのだ。
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