新聞紙で炊くタイガーの炊飯器、開発のきっかけは「もったいない」だった 廃棄内釜を災害対策に:知らないと損!?業界最前線(3/4 ページ)
タイガー魔法瓶からちょっと変わった炊飯器「魔法のかまどごはん」が登場する。熱源は電気ではなく「炎」。同社100周年と関東大震災から100年の2023年に、防災グッズとして提案。キャンプ需要や学校教育なども想定する。開発の経緯や目指す世界について、製品のプロジェクトリーダーに話を聞いた。
新聞紙だけでご飯が炊ける
そうして完成した「魔法のかまどごはん」。面白いのはその炊飯方法だ。通常、ご飯を炊くには強い火力が必要となる。このため電気炊飯器なら1000Wを超える電力を使い、飯ごう炊飯でも多くの薪を使って強い炎で沸騰させる。
「魔法のかまどごはん」が使う燃料は、新聞紙だ。全判11枚で5合のご飯が炊けるという。このときのポイントが新聞紙を半分に切ったあと、ねじって棒状にすること。そして約1分半ごとに新聞紙かまどの2つの穴に交互に入れて行く。このことにより、強い火力を手軽に生み出せるという。
3合のご飯は、全判9枚の新聞紙で炊飯できる。吸水時間が30〜40分、炊飯時間が約20分、蒸らし時間15分で、トータル1時間強で炊ける。電気炊飯器とは異なり、常にそばにいて新聞紙を投入し続ける手間はあるが、直火で手軽にご飯を炊く体験ができるのだ。
また燃料は新聞紙だけでなく、牛乳パックでも代用できるよう、枚数やタイミングを調整中だという。
おいしく炊くための工夫もある。「魔法のかまどごはん」では一般的な炊飯器とは異なり、内釜がかまどから飛び出したかまどのような構造となっている。これは内釜の上部を外に出すことで内部の温度に差をつけるため。下部の温度が高く、上部を低くすることで、内釜内部で熱対流が起こりやすくなるのだ。
実際に「魔法のかまどごはん」で炊いたご飯を試食したが、粒立ちがよく、ハリのあるご飯が炊けていた。アウトドアシーンはもちろんのこと、災害で避難しているときなどに、この温かい炊きたてご飯が食べられたら、非常に嬉しいはずだ。
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