コロナ禍でオープンキャンパスができない! とある大学が窮地をAWSで切り抜けた話
約8000人の学生を抱える北海道の私立大学・北海学園大学。コロナ禍によってこれまで通りのオープンキャンパスができなくなった同校は、クラウドを活用して窮地を乗り越えたという。
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約8000人の学生を抱える北海道の私立大学・北海学園大学。札幌市を拠点とする同学は2020年、コロナ禍によって、毎年開催していた対面式オープンキャンパスが開催できない危機に直面した。代替となるWebサービスもなく、短期間での対応を迫られることになった。そこで同学は、AWSを活用して大学の魅力を伝えるWebサイトを制作。結果、従来以上の参加者が集まるコンテンツを作成できたという。
オープンキャンパスが開催できないことが決まったのは20年3〜4月ごろ。緊急事態宣言の発出により、毎年オープンキャンパスを開いていた6月までに、代替となるWebサイトの開設が必要になった。しかし、担当者である松田郷平さん(入試部入試課)職員にはWeb制作の経験がなく「一切の知識がない状態で制作会社と進めるのは少しリスクがあるなと悩んでいた」(松田さん)という。
そこで、当時入試に関わる委員を担当しており、Web制作の知見もあった長谷川大准教授(工学部生命工学科)に相談。アドバイザーとして協力してもらうことになった。長谷川准教授による助言の結果、WebサイトはAWSを基盤に制作することに。オンプレミスという選択肢もあったが、当時はあくまで一時的な対応を想定していたこと、オンライン講義の実施により学内のITリソースがひっ迫していたこと、教員自身に知見があることもあって、AWSの採用に至った。
Webサイトの基盤はストレージサービス「Amazon S3」やCDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク:複数の別サーバがサーバ本体に代わってコンテンツを配信する技術)サービスの「CloudFront」を活用。仮想サーバ「Amazon EC2」上にCMS(コンテンツ管理システム)「Wordpress」を設置する構成とした。6月にはプレ公開という形で間に合わせ、8月に本番公開した。
急きょ代替として公開したWebサイト。オープンキャンパスの代替となるオンラインイベントも開催したところ、2019年の対面式オープンキャンパスより多くの視聴者が集まったという。19年の来場者数は約1500人。対して、オンラインイベントは2500人が視聴した。当初は一時的な試みとして開設したものの、オンラインイベントの成功もあってサイトは受験生・保護者などへの情報提供の場に。最終的にはプレ公開した20年6月から21年3月までに約6万人がWebサイトに来訪したという。
ただし問題もあった。アクセス集中による障害などは起きなかったものの、20年の末頃にはEC2のディスク容量が上限を超え、コンテンツの更新ができなくなるトラブルが発生してしまった。
そこで、21年1月からはSIerのスカイアーチネットワークスに運用を依頼。アクセス管理機能「Amazon Cognito」を活用した認証管理機能を追加してもらい、セキュリティの強化と安定した運用を実現した。その後、サーバ管理の委託先をSIerのソルテック(札幌市)に切り替え、運用を続けている。
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