英国主催の世界AI安全サミットで「ブレッチリー宣言」 日本と中国も参加
世界はつのAI Safety Summitが英国のブレッチリーパークで開催された。米、中、日を含む29カ国が参加し、AIのリスクにグローバルで対処する「ブレッチリー宣言」に署名した。
英国のブレッチリーパークで11月1日(現地時間)に開催された世界初のAI Safety Summit(以下、AI安全サミット)で、英国政府は「Bletchley Declaration」(ブレッチリー宣言)という政策文書を発表した。この宣言には、日本や中国、米国を含む29カ国が署名した。
この宣言は、AIが現在および未来にもたらすリスクにどう取り組むかについて、世界的な合意に達することを目的としている。AI安全サミットは今後も開催される見込みだ。次回は韓国で開催の予定。
前日にAIの安全性とセキュリティに関する大統領宣言に署名したジョー・バイデン米大統領は出席せず、米国代表はカマラ・ハリス副大統領だったがサミット初日には登壇しなかった。日本からは岸田首相がオンラインで参加。中国からは科学技術省の呉昭輝次官が参加した。
宣言の概要は、「AIは人類の福祉や繁栄を向上させる可能性を持ちつつ、安全かつ人間中心で信頼性のある方法で利用されるべきである。日常生活の多くの領域での利用が増加しており、人権の保護や透明性、公正性などの問題が重要である。特に高度な「フロンティア」のAIモデルには特定のリスクが伴い、これらのリスクは国際的な性質を持っているため、国際的な協力が必要とされる。」というもの(ChatGPT Plusによる)。
サミットが開催されたロンドン近郊のブレッチリーパークは、第二次大戦期に政府暗号学校が置かれ、アラン・チューリングらがドイツのエニグマ暗号を解読した場として知られている。
サミットにはAnthropic、Google DeepMind、OpenAなどのAI企業の代表も参加した。7月にxAIを立ち上げたイーロン・マスク氏も自家用ジェットで英国入りし、サミットで講演を行った。マスク氏はサミット後、英国のリシ・スナク首相との対談をX上でライブ配信する計画だ。
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