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EU、AI規制法案で暫定合意 「世界初」と欧州委員会委員長
欧州連合のEU理事会と欧州議会は、6月に欧州議会が可決した「EU AI Act」で暫定合意に達したと発表した。これから技術レベルの作業に入る。
欧州連合(EU)のEU理事会と欧州議会は12月9日(現地時間)、6月に欧州議会が可決した「EU AI Act」と呼ばれるAI規制法に関し、暫定合意に達したと発表した。
AI Actは、欧州市場に投入され、使用されるAIシステムの安全性、基本的権利と民主主義の尊重を確保しつつ、欧州のこの分野の企業の成長も確保することを目的とするもの。AIの潜在的なリスクと影響のレベルに基づいて、AIに対する義務を定める。
例えば、顔認識データセットの作成のためにネットや監視カメラの映像から顔画像をスクレイピングすることや、社会的行動や個人の特徴に基づく社会的スコアリングなどを禁じている。
また、汎用AI(GPAI)のシステムとモデルが順守すべき透明性要件も定める。
この規則に違反した場合、最大で3500万ユーロまたは世界での売上高の7%までの制裁金が科される可能性がある。
この暫定合意には3日間かかった。今後は、法案の詳細を最終決定するために技術レベルでの作業が続けられ、この作業が完了したら、議長国は承認を得るために妥協案を加盟国の代表者に提出する予定だ。
欧州委員会委員長のウルズラ・フォン・デア・ライエン氏はX(旧Twitter)に「AI Actは世界初のもので、信頼できるAI開発のための独自の法的枠組みだ」とポストした。
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