これが本当の“宇宙猫”? 米NASA、約3100万km先の宇宙の果てから“猫動画”の送信に成功
地球から約3100万km離れた宇宙の果てから、“猫動画”の送信に成功した──米NASAはそんな発表をした。
地球から約3100万km離れた宇宙の果てから、“猫動画”の送信に成功した──米NASAは12月18日(現地時間)、こんな事実を発表した。実験は、宇宙の遠方の領域「深宇宙」にいる探査機「Psyche」からレーザー通信を試みる技術検証として実施。地球と月の距離の約80倍という長距離での超高解像度の猫動画を送信することに成功したという。
今回NASAが送信した映像は約15秒ほどのもので、YouTubeでも公開中。映像上部には「THIS IS A TEST」の字幕が付き、中央にはPsycheの軌道などが描かれている。一方、映像の背景にはソファの上で猫がレーザーを追いかける様子が映し出されており、正直それ以外の情報は頭には入ってこない。
この猫は「テーターズ」という名前で、実験を行ったジェット推進研究所職員の飼い猫という。NASAは猫の動画を送信した理由について「この重要な実験をより記憶に残るものにするため、デモの本質を捉えた楽しい動画を作成することにした」としている。
また「歴史的なつながりもある」とも述べており「1928年、米国初のテレビ試験放送に人気アニメキャラクター『フィリックス・ザ・キャット』が登場している。近年でも、猫の動画やミームは、ネット上で最も人気のあるコンテンツの一つだ」と続けた。
実験では、Psycheに取り付けた「DSOC's Flight Laser Transceiver」と呼ばれる機器を使い、米カリフォルニア工科大学が持つパロマー天文台にあるヘール望遠鏡に動画を送った。地球とPsycheの距離は約3100万kmあったが、267Mbpsで地球到達までに約101秒かけ、無事に送信することに成功した。
実験を先導したライアン・ロガリンさんは「何百万マイルも離れた場所から送信しているにもかかわらず、ほとんどのブロードバンドインターネット接続よりも高速に動画を送信することができた」と成果を話す。NASAでは今後も、将来の行う地球軌道を超えた場所への有人探査に向け、深宇宙からの通信技術の検証を進めていくとしている。
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