アイデア家電サンコーの「着る暖房」が、6億の売り上げを稼ぎ出した舞台裏:知らないと損!?業界最前線(2/6 ページ)
「着る暖房」が注目を集めている。ここにきて一気に寒さが増してきたが、光熱費の高騰により暖房器具の選択は切実な問題だ。着る暖房はエアコンなどとは異なり、人だけを暖めるため省エネ効果が高い。着る暖房を数多く手がけるサンコーのプロダクトマネージャーに今季製品の新機能などを聞いた。
始まりは、05年発売のUSBスリッパ
実はサンコーの暖房製品の歴史は長い。最初の製品は05年発売の「USBスリッパ」だ。それからほぼ毎年、リニューアルを繰り返し、23年モデルは、小型のモバイルバッテリーを収納できるポケット付きの「どこでも床暖スリッパ」(実勢価格3980円、本体のみ)が販売されている。
「元々、暖房製品を取り扱うようになったのは、当社代表の山光(博康氏)がかなりの寒がりだったことが始まりです。本人が欲しいということで、USB充電式のスリッパと手袋を取り扱いました。それがその後も続いた結果、23年モデルのスリッパは21世代目になりました」(野崎さん)
とはいえ、暖房製品を始めたころのサンコーはまだ、メイン製品はデジタルガジェットで家電製品の取り扱いは少なかった。USBスリッパやUSB手袋は、ちょっと変わったPC周辺機器という立ち位置だった。
サンコーが着るタイプの暖房器具を本格的に取り扱うようになったのは、家電製品全般の取り扱いが増えた18年。最初は独自開発ではなく製造品を調達した「着るコタツ」だった。
翌19年モデルから暖房製品の自社開発がスタート。そして着る暖房がブレイクしたのはコロナ禍だ。在宅時間が長くなり、さらに電気代も高騰。在宅時の省エネ暖房として注目を集めた。
「最初に取り扱った調達品は暖かさが足りず、またシャカシャカとした音のする薄手の生地だったので、それを起毛素材に変えるなど、さまざまな工夫をしました。また足を抜けるように改良して、着たまま歩けるようになっています」(野崎さん)
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