家電メーカー、円安のダメージは? 現状と対策を聞いた:知らないと損!?業界最前線(5/6 ページ)
家電製品の値上げが続いている。きっかけは2020年頃から発生した半導体不足と、22年初頭から始まった大幅な円安だ。そこで各社の決算発表などを元に23年の家電製品の売り上げ動向と、各社の対策を取材した。
環境経営の日立GLSは指定価格制度を採用
日立GLSは12月に開催された環境経営の説明会において、円安や原材料費、人件費の高騰などの課題に環境経営で対応すると語った。同社は日立製作所の連結子会社のため単社の詳細な数値は不明だが、23年3月期の22年度の連結決算によると、売り上げは前年比2%アップの4000億円で、「国内家電の販売増および構造改革等により収増増益の見通し」としている。
ここでいう構造改革のなかでも注目すべきが環境経営だ。例えば、部材や製品の輸送をグループ各社と連携することで、トラックの運転台数や輸送距離の削減に取り組んでいる。そのほか長く取り組んでいるのが再生材の活用だ。回収した冷蔵庫や洗濯機などから再生したプラスチックを、再び家電製品で利用している。
再生プラスチックには取り除けない炭化物などが混入することがあるが、洗濯乾燥機などのボディカラーを白からグレーに変えたり、冷蔵庫のドアポケット部品をブラックにすることで、黒い炭化物を目立たなくしているという。このほか鉄やガラスなども再生材料を利用しているという。
もともと再生材は環境対応のために採用されることが多かったが、円安が進み、原材料費が高騰した今では、コストダウンの手段の1つとなっているそうだ。
さらに23年11月にスタートしたドラム型洗濯乾燥機の指定価格制度については、始まったばかりのため判断は時期尚早だとしつつも、「市場価格を我々がコントロールしていくことを目指し、中長期的な取り組みとして始めました。好調な売れ行きとみております」(大隈社長)と話す。
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