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ダイキンの“ピンポイント暖房”が売り切れ目前 開発者に聞いたヒットの理由:知らないと損!?業界最前線(2/4 ページ)
光熱費の高騰で暖房器具に省エネ性がより求められるなか、10月発売のダイキン工業「ハイブリッドセラムヒート」が注目を集めている。価格は6万円超だが、23年度の出荷分はすでに終了し、店頭在庫しか残っていない人気商品だ。開発経緯と人気の理由を企画担当者に聞いた。
海外メーカーに次ぐ3位からの脱却を目指す
ダイキンにはもともと、遠赤外線セラミックヒーターを採用した「セラムヒート」という暖房器具がある。これは1985年に業務用として登場し、その後03年に家庭用が発売されたもので、以降、毎年モデルチェンジを続ける人気の暖房器具シリーズだ。
ダイキン工業「セラムヒート ERFT11ZS-T」(実勢価格3万6420円)。遠赤外線ヒーターを搭載し、強力に身体を暖めてくれる遠赤外線暖房機。遠赤外線が身体を内部から暖めるため、一般的な電気ヒーターよりも暖かさが維持する。節電効果も高い
そもそもダイキンが展開しているメインの暖房器具はエアコンだ。しかしエアコンは部屋全体を暖めるもので、導入のハードルは高い。一方、ピンポイントで人を暖めるニーズに対しては、セラムヒートを販売してきた。そこに新たに追加されたのが、このハイブリッドセラムヒートというわけだ。
「セラムヒート単体の電気暖房機器市場での金額シェアは、20年まで14年連続ナンバーワンでしたが、メーカー別で見ると海外メーカー2社に次いで3位でした。この1位、2位の市場を獲得するために新しく開発したのが『ハイブリッドセラムヒート』です」(森上さん)
新しい暖房器具を開発するにあたって注目した点は、速暖性と安全性、デザイン性だという。これまでセラムヒートではあまり獲得できていなかった30〜40代の子育てファミリー層をメインターゲットに据えて、21年頃より開発がスタートした。
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