ダイキンの“ピンポイント暖房”が売り切れ目前 開発者に聞いたヒットの理由:知らないと損!?業界最前線(3/4 ページ)
光熱費の高騰で暖房器具に省エネ性がより求められるなか、10月発売のダイキン工業「ハイブリッドセラムヒート」が注目を集めている。価格は6万円超だが、23年度の出荷分はすでに終了し、店頭在庫しか残っていない人気商品だ。開発経緯と人気の理由を企画担当者に聞いた。
温風と遠赤外線のハイブリッドで暖める
ハイブリッドセラムヒートは名前の通り、温風と遠赤外線を介して伝わるヒーターの輻射熱のハイブリッドで暖める点が特徴だ。従来のセラムヒートは遠赤外線のみで暖めるため、立ち上がりにやや時間がかかることが課題となっていた。一度立ち上がってしまえばあとは非常に暖かいのだが、寒い早朝に足元を素早く暖めたいニーズには合わない。
そこでハイブリッドセラムヒートには、約10秒で温風が吹き出す機能を搭載。しかも本体前面の下部から床を這うように温風が出るため、ピンポイントで足元を暖められる。その後遠赤外線ヒーターが立ち上がったあとは、徐々に温風を弱めて輻射熱での暖房をメインにする仕組みだ。
「温風に関してはなるべく人に当てないよう、足元を沿わせるような気流を実現しました。電気温風機には、温風が顔に当たって不快に感じるというデメリットがあるので、そこを意識しました」(森上さん)
そして、もう1つ力を入れた点が安全性だ。セラムヒートの前面が幅広の格子だったのに対し、ハイブリッドセラムヒートでは前面にパンチングメタルのパネルを採用した。そしてこのパネルの表面温度は、平均50℃が保たれているという。
パンチングメタルの温度が高くなり過ぎないのは、本体の設計による。本体下部から吹き出る風は、前面上部に設置されたファンでパンチングメタルを通して空気を吸い込んでいるため、パンチングメタル自体の温度上昇を抑えることができるのだ。
さらにパンチングメタルの表面温度は、控えめモードに設定することで50℃以下に抑えることもできる。小さい子どもがいる家庭でも安心して利用できるというわけだ。
関連記事
- 焼けた肉を盤上で切ってそのまま口の中へ バルミューダのホットプレートが目指した“体験”、開発者に聞く
バルミューダがホットプレート「BALMUDA The Plate Pro」を発表した。扇風機やトースターなどで人気の同社だが、参入したスマートフォン事業は2年で撤退するなど迷走も見えた。起死回生を図るこのホットプレートについて、開発の経緯や目指す姿などを担当者に聞いた。 - タカラトミー「究極のおにぎり」を料亭出身の料理人と試したら? さらに美味しくするプロの技に脱帽した
最近、おにぎりがブームだ。全国で専門店の出店が続き、行列のできる店も増えている。そんな中、タカラトミーアーツから登場した「究極のおにぎり」は“話題のおにぎり専門店のようなふわふわなおにぎりを手軽に作れる”という。通常のおにぎりとは何が違うのか。おにぎり店の調理長と食べてみた。 - 本当に550万円で1LDKの家ができるの? 3Dプリンター住宅の素朴な疑問をメーカーに聞いた
「住宅」の常識が変わろうとしている。建築用3Dプリンターによって、50平米の住宅を550万円で実現するセレンディクス。550万円でどこまでできるのか、通常の住宅と何が違うのか。3Dプリンター住宅における素朴な疑問を小間裕康代表取締役に聞いた。 - 新聞紙で炊くタイガーの炊飯器、開発のきっかけは「もったいない」だった 廃棄内釜を災害対策に
タイガー魔法瓶からちょっと変わった炊飯器「魔法のかまどごはん」が登場する。熱源は電気ではなく「炎」。同社100周年と関東大震災から100年の2023年に、防災グッズとして提案。キャンプ需要や学校教育なども想定する。開発の経緯や目指す世界について、製品のプロジェクトリーダーに話を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.