日本初、「SLIM」月面着陸に成功も、太陽光パネル発電せず “ピンポイント着陸”は「ほぼ実証できた」
JAXAは1月20日、小型月着陸実証機「SLIM」が、同日午前0時20分ごろに月面着陸したと発表した。着陸後、探査機とは正常にテレメトリデータを通信できており、ソフトランディングには成功したとしている。
JAXA(宇宙航空研究開発機構)は1月20日、小型月着陸実証機「SLIM」(Smart Lander for Investigating Moon)が、同日午前0時20分ごろに月面着陸したと発表した。着陸後、探査機とは正常にテレメトリデータを通信できており、ソフトランディングに成功したとしている。
ただし、探査機の太陽光パネルが発電しておらず、現在内蔵のバッテリーで省電力運用している状態。数時間のバッテリー稼働でできることに注力する。原因として「当初の想定と違う方向を向いている可能性がある」(JAXA國中氏)とのことだが、太陽光の当たり方が変わることで発電する可能性もあるという。ただし、光が再び当たるまでマイナス200度の「越夜」に、2週間耐える必要があるとしている。
SLIMは2023年9月6日に打ち上げられた月着陸機。海外の探査機などに見られる数km〜十数kmの着陸地点精度を100mオーダーに引き上げる、ピンポイント着陸を実証するために開発された。高精度着陸について國中氏は「トレースを見る限り100m精度のピンポイントランディングはほぼできただろうと考えている」と述べている。なお、正確な成否は1カ月以内での判明を見込む。
月周回衛星「かぐや」などで撮影した月面画像から作成した地図と、SLIMに搭載された航法カメラで撮影した画像をマッチングさせることで、SLIM単体での自己位置を推定できる。岩石やクレーターなどを自動で検知し、安全な地点での着陸が可能としていた。
SLIMには、超小型の変形ロボット「SORA-Q」が搭載されている。球体状の外骨格を変形させることで車輪として使うことができ、月面を移動しながら搭載されたカメラで月表面の様子を地球に送信する機能が搭載されている。なお、SLIMは探査プローブの「LEV-1」と、SORA-Qこと「LEV-2」の分離にも成功している。
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