MetaのザッカーバーグCEO、公聴会で自殺者の写真を掲げる傍聴人に直接謝罪
米連邦議会上院司法委員会が開催したSNSでの子供の安全に関する公聴会は4時間にわたった。傍聴席にはSNS関連で自殺した被害者の親が多数並び、MetaのザッカーバーグCEOは立ち上がって彼らに謝罪の言葉を述べた。
米連邦議会上院は1月31日(現地時間)、プラットフォームでの子供の安全に関する公聴会を開いた。この公聴会には、米Metaのマーク・ザッカーバーグCEO、米Xのリンダ・ヤッカリーノCEO、米TikTokのショウ・ジ・チュウCEO、米Snapのエヴァン・シュピーゲルCEO、米Discordのジェイソン・シトロンCEOが召喚され、4時間以上にわたって質疑応答が続いた。
この超党派の公聴会は、CSAM(Child Sexual Abuse Material;児童性的虐待のコンテンツ)対策の立法を目指す議員らが中心となって開催したもの。オンラインでの性的搾取から未成年を守ることに失敗しているとみなしたSNSの代表を召喚した。
傍聴席には、ソーシャルメディア上でのいじめや嫌がらせの被害者となった未成年者の写真を掲げた多数の親たちが座っていた。
リンゼイ・グラハム議員(共和党、サウスカロライナ州)は公聴会の冒頭でザッカーバーグ氏に対し、「意図したものではないのは分かっているが、あなたの手は血に染まっている。あなたが開発した製品は人を殺傷するものだ」と語り、傍聴席から拍手が起こった。
ジョシュ・ホーリー議員(共和党、ミズーリ州)がザッカーバーグ氏に「あなたは被害者に謝罪しましたか? 今すぐここで謝罪できますよ?」と質問すると、ザッカーバーグ氏は椅子から立ち上がって傍聴席に向かい、「皆さんが経験してきたことのすべてについて謝罪します。皆さんの家族が苦しんだような経験をもう誰にも経験させるべきではない」と語り「そのために業界をリードする取り組みを続けていくつもりだ」と締めくくった。
こうした公聴会にCEOとして初めて参加したヤッカリーノ氏は終了後、公聴会に参加した被害者の家族や本人の勇気に感謝するとポストした。「Xをインターネットをより安全にするためのパートナーになると、みなさんに約束します」という。
公聴会の録画は上院司法委員会のサイトで視聴できる。
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