「iPhoneで空間スキャン」に本命あらわる 無料アプリ「Scaniverse」が3D Gaussian Splattingに対応
米Nianticのスマートフォン向け3Dキャプチャーアプリ「Scaniverse 3.0」が公開された。新たに「3D Gaussian Splatting」に対応し、高品質な空間スキャンが可能になる。利用料は無料だ。
米Nianticは3月20日(現地時間)、スマートフォン向け3Dキャプチャーアプリ「Scaniverse 3.0」を公開した。新たに「3D Gaussian Splatting」に対応し、高品質な空間スキャンが可能になる。利用料は無料、提供はiOS版のみだが、Android版も開発中としている。
これまで、LiDARや独自のフォトグラメトリ技術を使って空間の3Dスキャンに対応していたが、3D Gaussian Splattingの採用により、LiDARが搭載されていないiPhoneでも高精度な空間スキャンが可能になる。しかもRAWデータが残っていれば、過去にスキャンしたものでも3D Gaussian Splattingを再適用できるという。
今回採用した3D Gaussian Splattingは、複数の画像から3D空間を構築する最新技術で、データの偏りなどで実際の空間には存在しないモヤ(ゴースト)が出てくるといった、NeRFや他のフォトグラメトリにあった課題を克服しているのが特徴。光沢・反射のある表面を含め高精度にレンダリングすることができる。
Gaussian Splattingを利用するには、NVIDIAなどハイエンドGPUが不可欠だったが、Scaniverseでは、クラウドを使わずスマートフォンのローカル処理で実現。「現代のスマートフォンは、ポケットサイズのスーパーコンピュータです。いくつかの注意深い最適化を行うことで、簡単にスプラットのトレーニングを処理することができます」とNianticは説明している。
なお、スプラットが適している処理として、照明と反射を備えたフォトリアリスティックな結果を求める場合、背景を含む全体のシーンをキャプチャしたい場合と説明。既存のメッシュが適しているのは、スキャン結果を他の3Dソフトウェアやゲームエンジンで使用したい場合、背景のない独立した3Dモデルを求める場合、正確な測定が必要な場合、明確に定義された被写体がないシーンをモデル化したい場合(例:建物内のすべての部屋を含むスキャン)としている。
Scaniverseは、米Toolbox AIが開発した3Dスキャンアプリだったが、2021年にNianticが同社を買収。それにあわせ、Scaniverseの全機能が無料で使えるようになった。
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