ネット社会は「身元不明死」に対応できるか:小寺信良のIT大作戦(3/3 ページ)
2025年問題というのをご存じだろうか。物流の「2024年問題」が来たばかりで、もはやいつがどの問題なのかわけが分からなくなっている方も少なくないと思うが、取りあえずこれから起こる一番近いのが、2025年問題である。
解決策になりうるSNSの存在
こんな例を見てしまうと、一人暮らしの高齢者にとって親しく友人とつながっているかどうかは重要だ。こうしたときに頼りになるのが、SNSである。高齢者はSNSなんか使わないだろうと考えるのは、認識が古い。
令和4年総務省公開の通信利用動向調査によれば、60代で88.8%、70代で65.5%、80歳以上で33.2%がインターネットを利用している。
SNSの利用率においても、インターネット利用者のうち60代で73.4%、70代で63.9%、80歳以上で63.8%が利用している。
シニア向けSNSとしては、「らくらくスマートフォン」購入者の受け皿として誕生した会員数260万人を誇る「らくらくコミュニティ」がある。Facebookも高齢化が著しいとしてオワコンという人もあるが、「らくらくスマートフォン」世代より下の高齢者が集う場所として盛況であるというのは、見逃せないところだ。
かく言う筆者もネット歴はパソコン通信時代までさかのぼるので、かれこれ35年ぐらいになる。その35年前にネットで知り合った友人達は、いまだFacebook上でつながっている。歳を取るにつれ、新たに信頼できる友人を作るのはどんどん難しくなっていくが、若い頃に知り合い、お互い実名や家庭の事情も知っている友人達とは、歳を取っても信頼度は変わらない。
こうした長年の付き合いは、とくに意識してそうしてきたわけではないが、実際に高齢者に近づくにつれて加速度的に重要性が増していくようだ。仮に一人暮らしになったとしても、SNSで頻繁にコミュニケーションしていれば、それが途絶えたときに友人達は数日で気付くだろう。
SNS元年は、Facebookとmixiがサービスインした2004年と見る事ができる。そこから20年、高齢者がSNSで他者とつながっていることは、生存証明という意味合いも加わってきた。世界中がどこも経験したことがない、先進国の超高齢化社会。古くからネットコミュニケーションが発達していたということが、先進モデルとなり得るかもしれない。
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