「弊社は情シス部門の人員を削減し、営業力を強化します!」「プロジェクト管理ツールなんていらない、Excelで十分!」──東京都内のとあるホテルで、情報インシデントやトラブルにつながりそうな“死亡フラグ”発言が男女4人から飛び交った。
──2022年10月、こんな書き出しの記事を掲載した。見出しは「“限界情シス”をゲームで体験 HENNGEの『情シスすごろく』遊んでみた インシデントまみれの1カ月、無事に乗り切れるか」。内容は、セキュリティ企業のHENNGEがユーザーコミュニティー向けに作ったボードゲームを遊んだ体験記事だ。
そして24年4月18日、この「情シスすごろく」にまさかの新作「情シスすごろく2」が登場。早速試遊してきたので、レビューをお届けする。結論から言えば、現地では「社員を信じてメール誤送信防止ツールは解約します」「大した提案がないので、外資系ITコンサルとの契約は解除します」など、不穏なワードが飛び交う楽しい結果となった。
そもそも情シスすごろくとは何か
情シスすごろくは、情シス間の“あるある”をテーマにしたボードゲーム。情報漏えいの懸念から、なかなかコミュニケーションが活発にならない情シス間の会話を盛り上げるために作ったものだ。
細かい点は過去記事に譲るが、基本的にはすごろくを進め、なるべく体力を残しつつゴールを目指すルール。ただし、止まるマスによっては「ファイルサーバがダウンし、テープバックアップも失敗」「社員がシャドーITをしていた」などさまざまなトラブルが起こる。それらを「SaaSアカウント管理ツール」「外資系ITコンサルタント」「SASE」「パスワードマネージャ」といったアイテムカードのようなもので回避するのが大まかな流れだ。
一方で、アイテムカードを手札から捨てることでサイコロの出目を大きくできる(1枚につき1マス)。ただし捨てるときには「自社からそのソリューションをなくす理由」を説明しなくてはいけない。そのため記事序盤のような大喜利が発生するわけだ。
小物を刷新 まさかの「2」、変更点は
新しい「情シスすごろく2」では、基本的なルールはそのままに、コンポーネント(小物)のデザインやカードのフレーバーテキスト(ゲームの進行には関係しない、雰囲気作りの文章)などをアップデート。例えば、プレイヤーが自分の体力などを管理するのに使うパネルのデザインを一新した他、アイテムカードのイラストやUIも新しくした。
発生するトラブルも、時流を踏まえたものに改めた。「半導体不足により業務用PCが調達できない」「太陽表面の爆発現象が活発になり、無線機器が使えなくなる」といったトラブルが起こるようになった。同様にアイテムカードも更新。「セキュリティ評価SaaS」「EDR」「SaaSアカウント管理ツール」など、こちらも時流を踏まえたものをそろえた。
遊びやすさを高めるとして、ルールも一部を簡略化。例えば前作では「標準」〜「極限状態」の4段階あったプレイヤーのステータスが、「お疲れ」と「平常運転」の2段階に減った。
Japan IT Weekに合わせ「2」制作
HENNGEによれば、2の制作は4月24日から26日開催のIT展示会「Japan IT Week」に合わせたものという。ゲームは同イベントでも展示し、来場したユーザーが遊べるようにする。ただし、前作と同じく一般販売はせず、引き続き同社のユーザーイベントなどで遊んでもらう形にするという。
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