EU、「TikTok Lite」の中毒性に懸念 報酬プログラム停止措置の可能性も
EUの欧州委員会は、中国ByteDance資本のTikTokをDSA(デジタルサービス法)違反の疑いで2回目の調査を開始したと発表した。新機能の中毒性を懸念しており、この機能の停止措置の可能性もある。
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は4月22日(現地時間)、中国ByteDance資本のTikTokがEUの「Digital Services Act(DSA:デジタルサービス法)」に違反している疑いがあるとして、正式な調査を開始したと発表した。TikTokの調査は2月開始に続く2回目だ。
今回の調査のポイントは、TikTokがフランスとスペインで新たに開始した「TikTok Lite」の報酬プログラムに関するものだ。このサービスは、ユーザーがコンテンツに「いいね」したりアプリに友達を招待したりするとポイントを獲得でき、このポイントをクリエイターにプレゼントするためのAmazonギフト券やTikTok独自のデジタル通貨などと交換できる。
欧州委員会は、この機能が「中毒性の行動を刺激する」ことで若いユーザーのメンタルヘルスに悪影響を与える可能性があると懸念している。
マルグレーテ・ベステアー執行副委員長は、「DSAに基づき、オンラインプラットフォームはユーザーが直面する可能性のある潜在的なリスクを評価し、対処する責任がある」とし、「TikTokに対し、ユーザーをどのように保護しているかについての報告を求めた」と語った。
TikTokが指定された期限内に委員会の情報要求に回答できなかった場合、同社には年間総収入の最大1%の罰金および、平均日収入の最大5%の定期的な罰金が科される可能性がある。
委員会はまた、安全性の評価が完了するまで、EUにおける報酬プログラムの停止を含む暫定措置を課す意向もTikTokに伝えたとしている。
TikTokに関しては、米国でもByteDanceに売却を要求する動きが進んでいる。
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