欧州委員会、MetaをDSA違反の可能性で調査開始 インスタの中毒性に懸念
EUの欧州委員会は、MetaをDSA(デジタルサービス法)違反の可能性で調査を開始した。FacebookやInstagramの未成年ユーザーを守る措置が不十分な可能性があるとしている。
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は5月16日(現地時間)、米Metaが、EUの「Digital Services Act(DSA:デジタルサービス法)」に違反している疑いがあるとして、正式な調査を開始したと発表した。
MetaがFacebookやInstagramを利用する未成年者の心身の健康を守るために十分な措置を講じていないという懸念に基づくとしている。
欧州委員会は発表文で、FacebookとInstagramのユーザーインタフェースとアルゴリズムが子どもの行動依存症を引き起こし「rabbit-hole effects」(ウサギの穴効果;「ふしぎの国のアリス」でアリスがウサギを追って穴に落ちていったように、何かに深入りしていくこと)を引き起こす可能性があると指摘した。
また、Metaが未成年者が不適切なコンテンツにアクセスすることを防ぐための措置を十分に講じていないことと、年齢確認ツールが「合理的、適切、効果的」ではない可能性があることも懸念しているという。
さらに、Metaのおすすめシステムとプライバシー設定が未成年者に十分なプライバシー、安全性、セキュリティを提供しているかどうかを評価する。
欧州委員会のティエリー・ブルトン委員(域内市場担当)は自身のXで「われわれは若者を守るために全力を尽くす」とポストした。
調査の結果、MetaがDSAに違反しているとなった場合、同社の世界での収益の最大6%の罰金が課せられる可能性がある。
欧州委員会は現在、MetaをDMA(デジタル市場法)違反の可能性でも調査中だ。
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