アニメ「エヴァンゲリオン」制作・ガイナックスが破産 40年の歴史に幕
アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」などを制作したガイナックスは、会社破産の申請が5月29日に受理されたと発表した。
アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」(現在はカラーが著作権を保有)などを制作したガイナックスは6月7日、会社破産の申請が5月29日に受理されたと発表した。
同社は1984年の設立以来、アニメーション制作などで事業を行ってきたが、2012年頃から経営陣による不適切な経営により経済状態が悪化。具体的には、見通しの甘い飲食店経営や無計画なCG会社の設立、運営幹部個人への高額の無担保貸付、投資作品の失注などがあったという。また経営難からエヴァンゲリオンを含む複数の作品の版権が他社に移っていた。
経営再建のため20年にガイナックス社長に就任した神村靖宏代表はこれらを「経営陣・運営幹部の会社を私物化したかのような運営」と指摘し、経営悪化の原因としている。これによって同社は資金繰りに苦しむことになった。また、該当の幹部やその関係者たちがガイナックスの社名を冠した関連会社が多数設立。ガイナックス本体から大量の退職者を出して、アニメーション制作機能を失ったという。
18年には、映像制作に知見のない人物への株式譲渡を実施した。19年にはその人物が代表取締役に就任したが、その直後に未成年者への性加害で逮捕される事態に。多額の負債を抱え、完全に運営能力を失ってしまった。
事態収束のため、債権者でもあるカラーの支援のもとで、20年2月に経営陣を刷新した。カラーは、エヴァンゲリオンの監督として知られる庵野秀明さんが06年に設立した会社。庵野さんは翌07年にガイナックスを退社して以後、株主あるいは債権者の立場でガイナックスと関わってきた。
経営陣刷新に伴い実態把握に努めたところ「多額の金融機関からの借入」「アニメーション業界各社への債務不履行」「知的財産や作品資料を正当な権利者の許諾なく、上述の経営陣・運営幹部の会社や個人への売却、譲渡」などの事実が判明し、これらの正常化に取り組んできたという。
しかし結局、多くの旧経営陣が株主として残る状況は変わらず、前体制時に積みあがっていた高額負債解消には至らなかった。24年5月には債権回収会社から債権請求訴訟の提訴を受け、業務の継続は困難との判断に。今回、会社破産の申請をするに至った。
神村代表は「破産を選択せざるを得なかったことは、債権者の皆様およびご協力いただいた各社様に、そしてファンの皆様にたいへん申し訳なく存じます」としつつ、カラーや40年間支えてきたファンに感謝を伝えた。
なお、ガイナックスの商標はすでにカラーに譲渡済み。ガイナックスが管理していた作品の今後の運用については後日発表するという。また、ガイナックスは「ガイナ(スタジオガイナ)」「福島ガイナ」(以上いずれも、旧「福島ガイナックス」)、「ガイナックスインターナショナル」(GAINAX International)「GAINAX京都」「米子ガイナックス」「ガイナックス新潟」「GAINAX WEST」などの法人とは無関係としている。
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