全国交通系ICカードは止めます──熊本市のバス、市電が苦渋の決断 市長「同様の自治体が出てくるのでは」
熊本県内を運行する路線バスでは、12月中旬にも「Suica」などの全国交通系ICカードが使えなくなる。原因は、読み取り機器の更新費用が高価で見合わないこと。熊本市の大西一史市長は、同市が「交通系ICカードから離脱する全国初の自治体になった」と話す。
市内を運行する九州産交バスなど5社で構成する共同経営推進室は、決済手段としての全国交通系ICカードを停止し、代わりにクレジットカードなどのタッチ決済を2025年3月ごろまでに導入する方針を示した。QRコード決済の採用も検討中だが、これにより既存機器の更新に比べると更新コストは約半分に圧縮できるという。
市電も1年遅れの26年4月から、同様の決済方法に移行する。交通系ICカードは、JRとの乗り換えがスムーズで、観光客の需要もあり、23年度に実施した利用者アンケートでは全体の51%の人が使っていたという。
5月末の会見で大西市長は「交通事業者は苦渋の決断だったと思う。更新コストが12億円以上かかる。3両編成の市電が3編成買える値段で、これを負担すると経営が非常に厳しくなる」と説明。その上で「あえて申し上げるとすれば、更新費用だけに12億円以上も掛かるというのは一体どういうことか。大都市のシステム維持のために地方にこれだけしわ寄せがくる」と不満をぶちまけた。
更新費用が負担できない、もう1つの要因は、市バスなどで交通系ICカードを新たに導入する時には国の補助が出るものの、更新時には出ないことだという。大西市長は「今後、更新や費用負担の問題で、同様に断念せざるを得ない自治体が出てくるのではないか。果たして持続可能なシステムなのか、国としてもいろいろ考える時期がきているのではないか」と指摘している。
【訂正:2024年6月7日21時20分更新 ※初出時に市電を運営する熊本電鉄という記述がありましたが、熊本市交通局の誤りでした。おわびして訂正いたします】
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