老舗百貨店、大丸松坂屋が「高級アバター」を販売するワケ 「Ado」のイメージディレクターも参加(2/2 ページ)
7月3日から5日まで東京ビッグサイトで開催中の「コンテンツ東京」に一角だけ、のれんに岩に砂利敷に法被を羽織ったスタッフに、和を全面に押し出したブースが異彩を放っていた。出展主は老舗百貨店の大丸松坂屋百貨店、扱うのは「高級アバター」という。
なぜ百貨店が「高級アバター」販売?
「なぜ百貨店がメタバース事業?」と疑問に思うが、大丸松坂屋百貨店の岡崎路易氏(崎はたつさき)は「メタバースで生活している人がいるから」と語る。岡崎氏は同百貨店でDX推進部部長としてデジタル事業開発を率いており、メタバース事業への進出は、盛り上がりを見せていたメタバース領域を調べて欲しいという社長の声がきっかけだったという。
自ら試したい性格という岡崎氏はゲーミングPCを購入し、いつの間にかVRChatの世界に没頭。VRChat上で“生活”しているヘビーユーザーが多くいること知り、メタバース生活者向けの商品開発にかじを切る。企業が「メタバース事業に参入」というと、大体は箱を作りがちで“過疎バース”になることも少なくないが、大丸松坂屋はすでに存在するメタバースユーザーを対象に捉えた。アバターの販売から始めたのも、ユーザーにとって一番身近なアイテムだったから説明する。
扱うのはいわゆる「高級アバター」と呼べる代物だが、「正装」というコンセプトをもとに、実力のある複数のクリエーターと制作した高品位なもので、オリジナルながら百貨店の名に恥じないデザインとクオリティーを目指した。
“百貨店クオリティー”のアイテムを取り揃えるだけでなく、制作する若手クリエーターの育成も担う。百貨店として、もともと現代アートや工芸家などのキュレーションも手掛けてきたこともあり、同社が培ってきたブランドやアーティスト、デザイナーとのネットワークという資産を持つ。これを生かし、アバター以外のデジタルアセット含め、新世代のクリエーターとのコラボレーションを増やす予定だ。
また、百貨店の域を超え、メタバースのコンサルティング事業も手掛けるという。同社は米VRChatと公式パートナーシップを締結しており、アバターの制作・販売で得られたナレッジをもとに、VRChatを使った企画立案・運用支援、アバター/デジタルアセットの制作、PR・SNS発信など、企業がメタバースを最大限活用するためのB2Bサービスにも力を入れるとしている。
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