Google対米司法省の独禁法裁判、司法省が企業分割を含む提案
米司法省は2020年から続くGoogleとの独禁法裁判で、連邦裁判所にGoogle分割を含む命令を要請する文書を提出した。Googleはこれらの要求は行き過ぎであり、消費者に悪影響を及ぼすと反論した。
米司法省(DoJ)は10月8日(現地時間)、2020年から続く裁判で米Googleに対し、検索における独占を排除するために同社の一部を分割するか、業務慣行を変更するよう強制するよう連邦裁判所に要請することを検討していると発表した。
この裁判で、コロンビア特別区連邦地裁のアミット・メータ判事は8月、Googleが検索および広告市場で独占を維持したことは米国の独禁法に違反しているという判決を下した。
メータ判事は、GoogleがTikTokやInstagram、Amazon、ChatGPTなど、検索市場には多くの競合が存在すると反論しているが、十分な資金力を持つ競合企業でさえ、Googleが構築した支配のサイクルを打破することは不可能だと判断した。
司法省はこの判決を受けて提出した「PLAINTIFFS’ PROPOSED REMEDY FRAMEWORK」(原告側による救済措置の枠組み)で、裁判所に以下の措置を要求することを検討している。
- データ共有の義務化:Googleに対し、検索エンジンの基盤となるデータ(検索結果のランキングシグナルなど)を競合他社が利用できるようにすることを求める
- 構造改革:Chromeブラウザ、Android OS、Google Playストアなどのサービスが検索事業に有利になるような活用を禁止する。場合によっては、これらのサービスをGoogleから分離することも検討対象となる可能性がある
- 独占的な契約の禁止:スマートフォンやWebブラウザで自動的にGoogle検索が選択されるような契約を禁止する
司法省はまた、GoogleがAI分野でも独占的な地位を築きつつあることにも懸念を示した。Googleが検索サービスを通じて蓄積した膨大なデータが、AIモデルの開発と強化において競合他社に対する優位性をもたらしていると指摘する。
司法省は、この問題に対処するため、Googleに対し、検索に利用されるインデックス、データ、フィード、モデル(AIアシスト検索機能で使われるものを含む)をAPIなどを介して公開することを要求することを検討している。
Googleは同日、公式ブログで反論した。司法省の要求は行き過ぎであり、消費者に悪影響を及ぼすとしている。検索クエリの共有はプライバシーとセキュリティを危険にさらし、AIツールへの制限は米国のイノベーションを阻害すると主張。また、ChromeやAndroidの分離は、これらのサービスを破壊し、デバイスのコスト増加につながると警告した。さらに、オンライン広告市場への介入は、広告の価値を低下させ、消費者にとって不便になると主張した。
司法省は11月に、Googleの独占状態を是正するための最終的な要求を提出する予定だ。Googleには12月に、独自の解決策をメータ判事に提案する機会が与えられる。メータ判事による最終判断は、来年になると予想される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
Googleの検索サービスを巡る米独禁法訴訟、「Googleは独占企業」との判決
Googleの検索サービスが独禁法違反だとして米司法省や複数の州政府が2020年に起こした裁判で、Googleは独禁法に違反しているという判決が下された。Googleは控訴するとしている。
GoogleをDoJや州判事らが2020年に提訴した独禁法訴訟、一部棄却
米司法省と複数の州政府が2020年にGoogleを提訴した独禁法裁判で、連邦地裁が7件の申し立て中4件を棄却した。残りの申し立てについては9月に審理が開始される。
Google対米全州の独禁法訴訟、7億ドル支払いとストア改善で和解へ
米司法省とほぼすべての米州が2020年にGoogleを独禁法違反の疑いで提訴した訴訟で、両者の和解条件が公表された。Googleは7億ドルを支払い、Google Playストアに修正を加える。
米司法省、Googleを独禁法違反で提訴 Googleは「ユーザーがわれわれを選んでいる」
米司法省がGoogleを独禁法違反で提訴した。検索および検索広告市場を不法に維持していると指摘。Googleは、この訴訟は「ひどい欠陥」があるとし、「ユーザーは強制されてではなく、自らGoogleを選んでいる」と主張する。

