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AIが連携して動く「四季報AI Ver2」の実力は? 株式市場の“旬な話題”について聞いてみた(3/3 ページ)

東洋経済新報社の「四季報AI」が、初めての大幅なアップデートを行いました。使用するAIエージェントの数が実に50倍に増え、一歩踏み込んだ投資判断のアドバイスまで行えるというので、開発者に話を聞きながら体験してきました。

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 プロンプト「株価のことを中心として簡潔にまとめられますか?」。今度は1200文字程度でまとめてくれました。ひとつ前のものと比較すると、もっと直近の株価の変化と理由について端的にまとまっています。


株価への影響リポート(一部)

 この2つのサンプルだけ見ても、Ver2のアウトプットが著しく向上したことが分かります。この結果は、複数のAIが連携して働いているからこそ可能になったこと。「指示役のAI」「アウトプット調整用のAI」「用途別の専門AI」など、それぞれが協調して動作します。米倉氏によれば、「LLM同士のコミュニケーションをどうアウトプットさせるかが難しいポイント」だったとのこと。

 実務での活用シーンも広がりそうです。例えば営業部門であれば、潜在顧客の掘り起こしに活用できます。「この業界で設備投資を計画している企業を探して」といった質問に対して、財務データや企業の開示情報を総合的に分析し、有望な営業先のリストを作成することができます。

 また、M&A担当者であれば「この会社の買収価値について分析して」といった質問も可能です。システムは財務指標だけでなく、業界動向や将来性まで含めた多角的な分析を提供してくれます。現状では日本企業の分析が中心で、海外企業の詳細な分析には人による追加指示が必要とのこと。

 開発チームは今後3カ月程度をかけて、処理速度の改善を目指しているほか、分析精度のさらなる向上も計画しています。「まだまだ賢くできる」と米倉氏は自信を見せます。また、API提供や外部システムへの組み込みなど、より柔軟な活用方法の検討も始まっているとのことです。

 四季報AIのバージョンアップによる進化は、金融情報サービスの新しい可能性を示唆しているように見えます。そしてそれが可能なのも会社四季報というデータがベースにあってこそ。それがVer2では、単なる株価情報を探すという領域を超え、ビジネスの実務に直結する判断材料を提供できるレベルに達しつつあります。今後、実際にビジネスの現場で、四季報AI Ver2でどのように活用されていくのか、注目しておきたいところです。

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