さよなら「EYE」、高度低下で予定より早い“停波” 宇宙撮影を一般に開放した画期的な人工衛星の2年間(1/3 ページ)
ソニーのSTAR SPHERE公式Xアカウントは19日、「停波しました」と報告した。23年1月3日の打ち上げから約2年。広く一般の人にも宇宙撮影の門戸を開いた画期的な超小型衛星「EYE」の運用が終了した瞬間だった。
「ここまで頑張ってくれたEYE、そろそろ限界のようです。高度が持ちません。明日停波します」──ソニーのSTAR SPHERE公式Xアカウントが2月18日にポストした内容だ。
そして翌19日の午後。今度は一言だけ「停波しました」と報告した。
2023年1月3日の打ち上げから約2年。広く一般の人にも宇宙撮影の門戸を開いた画期的な超小型衛星「EYE」の運用が終了した瞬間だった。
年初の時点では、もう少しだけ長く運用できるとみていた。2月22日にゲストを招いて「運用終了式」をライブ配信し、EYEが見ている宇宙の光景を映し出す“宇宙生中継”と“宇宙撮影”に挑戦する予定だった。しかし直近の高度低下状況を踏まえ、運用終了式を待たずに停波することになった(後述)。
運用終了式は、一部のプログラム内容を見直して予定通り22日にライブ配信する。当日はロケット工学VTuberの宇推くりあさんやロケット撮影専門の写真家・北山輝泰さんら、これまでEYEに関わった人々が多数出演し、EYEの足跡を振り返る。
「宇宙エンタメ衛星」構想
EYEのプロジェクトが発表されたのは2020年の8月。JAXAの共創プログラムの一環として、東京大学が開発する超小型衛星に、ソニー開発の宇宙用カメラを搭載し、地上からリアルタイムで遠隔操作できるシステムを構築するという構想だった。
プロジェクトを主導するソニーの中西吉洋さん(事業開発プラットフォーム新規事業化推進部門宇宙エンタテインメント準備室、当時)は、同年10月に開催された「CEATEC 2020」でイベントに参加し、「これまで通信や気象、測位といった実用衛星が中心だった宇宙利用を、楽しみという精神的な価値に広げることが目標」と語った。
23年1月3日、EYEを載せたロケットは米国・フロリダ州から打ち上げられた。その後、撮影した静止画や動画を地上に伝送するためのXバンド通信を確立。同年2月17日にはテスト撮影に成功した。
しかし同年3月、EYEをトラブルが襲う。
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