倒れない大画面テレビ「VIERA」、地震の時だけ床に吸着する吸盤の仕組みを聞いた:知らないと損!?業界最前線(2/5 ページ)
パナソニックの4Kテレビ「VIERA」には、震度6程度の地震でも倒れないという独自の「転倒防止スタンド」が搭載されている。その倒れない仕組みは、特許取得の「吸盤」にあるという。この転倒防止スタンドの吸着の仕組みと、開発の背景などを担当者に聞いた。
一般的な吸盤の仕組みと課題
まず始めに一般的な吸盤が吸着する仕組みをおさらいしよう。吸盤が床や壁などに押し付けられて固定された状態では、吸盤の内側は空気がほとんどなく真空に近い状態になっている。そのため吸盤内側からの圧力、つまり吸盤を押し返す力は極めてゼロに近い。その結果、大気圧が吸盤を押しつけている状態になる。これが「吸盤がくっついて外せない」状態だ。
こうして吸着した吸盤を外すには、吸盤の端っこにあるツマミなどを引っ張って、吸盤の内側に空気を入れる。すると吸盤の内側と外側の空気圧(押し合う力)の差がなくなるため、吸着していない状態に戻り、スムーズに取り外せる。
しかしこの一般的な吸盤は、時間が経つと髪の毛1本以下のわずかな隙間からでも空気が侵入し、徐々に吸盤内側からの圧力が増え、内側から吸盤を押し返す力が増してしまう。
「よく浴室や洗面所などにくっつけた吸盤が、ある時にポロッと落ちてしまうのは、吸盤に空気が侵入するも要因の一つです。長い時間をかけて吸引力が低下してしまうんです」
そう語るのは、パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション ビジュアル・サウンドビジネスユニット 機構設計部 主幹 本多和也氏。
「テレビの台座の底部に、一般的な吸盤を固定用に取り付けたとします。その後、地震が先ほど話した吸盤がポロッと落ちるタイミング、もしくは吸着力が下がった状態の時に発生した場合、テレビは転倒してしまいますよね。そのためVIERAの転倒防止スタンドには、一般的なものとは異なる仕組みの吸盤を採用しています」
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