「性犯罪マップ」が物議 事件・加害者情報などマッピング、誰でも閲覧可能 個人情報保護の観点で疑問の声
「性犯罪マップ」と呼ばれるデータベースがX上で話題になっている。過去に国内の性犯罪が起きた場所を地図上にまとめたもの。X上では「個人情報保護法に違反している」などと指摘する声があり、物議を醸している。
「性犯罪マップ」と呼ばれるデータベースがX上で話題になっている。過去に国内の性犯罪が起きた場所を地図上にまとめたもので、メンバー登録すれば誰でも閲覧可能。制作者は目的について「子どもを性犯罪から守る」としているが、X上では「個人情報保護法に違反している」などと指摘する声があり、物議を醸している。
性犯罪マップが公開されたのは3月13日。地図上には日本で性犯罪事件があった場所にピンが刺されている。各ピンには、報道があった日付やその内容、加害者の年齢・性別、住所、被害者の年齢・性別、SNS/ゲーム利用の有無などの情報を記載している。
月額500円以上を支払う有料会員に登録をすると、より詳細な情報を閲覧できる。上記の内容に加えて、事件の発生日や出典元のメディア、その現場、事件の詳細や加害者の処分内容などもまとめている。公開当初は加害者の氏名も公開していたが、15日には非公開に変更した。
公開元の有志団体は「Amyna」(あみな)と名乗っており、子どもたちを性犯罪から守る方法を追求することを目的に掲げている。元国連難民高等弁務官カブール事務所所長の山本芳幸氏の投稿をきっかけに2024年1月以降に立ち上がったとみられ、その最初の取り組みとして公開されたのが性犯罪マップだ。17日時点では性犯罪マップを継続アップデートする方針を示しており、スマートフォン向けアプリを開発する考えも明かしている。
よみがえる「破産者マップ」の事例 「個人を吊し上げる目的ない」
一方、X上では性犯罪マップについて、個人情報保護法の観点から問題視する声が相次いでいる。「冤罪である場合とかどうやって正確性を担保してるんだろう?」「性犯罪に限らず正当な手続きなしにまとめて公開して良いのか」「性犯罪者の個人情報を金で売っているのと何か違うのか」などの意見が上がっている。また、該当の投稿には「個人情報保護法に違反している」と指摘するコミュニティーノートも追加されている。
過去には類似案件として、自己破産した人の氏名や住所をGoogleマップ上にプロットした「破産者マップ」が公開され、物議を醸した。こちらでは破産者の氏名や住所を掲載し、情報の削除には金銭を要求していた。これに対し個人情報保護委員会は「破産者の個人情報を違法に取り扱っている」とし、Webサイト運営者に停止勧告の措置を取っていた。
(関連記事:個人情報保護委、違法な“破産者情報サイト”に停止勧告 「新・破産者マップ」受けての対応か)
これらの否定的な意見を対し、山本氏は16日に声明を発表。note上で「ネガティブな意見や感想もたくさん頂いた。これらに関しては、想定したものばかりで、驚きはまったくなかった。全てのご意見を真摯に受け止めて改善の材料とさせて頂く」と見解を示している。
「個人を吊し上げるとか、二重処罰をするのが目的ではない。おそらくそういうことを考える人は少ないと思う。子どもたちがどれだけ性被害にあっているかという現状に注意を喚起して、できるだけ安全な社会に向けて舵を切るのが目的。そのためには、できる限り多くの国民が現状の認識をする必要がある」(山本氏)
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