Google、サードパーティCookie廃止計画を再撤回か? ユーザーへの選択肢提示を中止へ
Googleは、ChromeでのサードパーティCookieの廃止計画の新たな変更を発表した。昨年7月に発表した、Privacy Sandboxの機能をオンにするか、従来のサードパーティCookieを引き続き利用するかを選択するプロンプト表示の計画を中止する。
米Googleは4月22日(現地時間)、2020年に発表したChromeでのサードパーティCookieの廃止計画に関し、新たな変更を発表した。「さまざまな要因を考慮した結果」、ChromeでユーザーにサードパーティCookieの選択を求める新しいスタンドアロンのプロンプトを展開しない決定を下したとしている。
Googleは2020年より、プライバシー保護を強化する「Privacy Sandbox」構想のもと、サードパーティCookieの段階的な廃止を目指してきた。当初の計画では、2年以内の廃止が目標とされていたが、規制当局や広告業界からの懸念を受け、計画は何度も見直されてきた。
昨年7月の発表では、Chromeユーザーに対して、Privacy Sandboxの機能をオンにするか、従来のサードパーティCookieを引き続き利用するかを選択できるようなプロンプトが表示される予定だった。
だが今回、こうしたプロンプトを展開しないと発表した。ユーザーは引き続き、Chromeの「プライバシーとセキュリティ」設定内でオプションを選択することになる。
ただし、Privacy Sandboxのすべての技術開発が中止されたわけでない。Googleによると、シークレットモードでのIPアドレス保護機能は、第3四半期(7〜9月)に導入される予定という。とはいえ、Privacy Sandboxの中核目標であったサードパーティCookieの廃止は事実上、再び棚上げされた形となった。
この方針転換の理由として、Googleはプライバシーを強化する技術の普及、AIによるプライバシー保護の新たな可能性、世界的な規制状況の進化などを挙げている。しかし、一部報道では、政府の反トラスト規制当局からの不利な決定を事前に回避する意図があった可能性も指摘されている。
Googleは、「今後数カ月以内に、業界の皆様からのフィードバックを収集し、関連技術に関する最新のロードマップ(今後の投資分野を含む)を共有していく」としている。
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