OpenAI“営利化断念”も「投資価値は十分にある」――ソフトバンクG後藤CFO
営利企業への移行を取りやめたOpenAI。最大400億ドルの追加出資を予定していたソフトバンクグループだが、後藤CFOは5月13日の決算発表会で「投資価値は十分にある」と発言した。
ソフトバンクグループ(SBG)の後藤芳光CFOは5月13日の決算説明会で、営利組織への転換を取りやめると発表した米OpenAIについて「悪い方向に行っているとは考えていない」とコメントした。投資への影響が懸念されていたが「われわれが投資しているのは営利事業体であり、そこが成長していけば、投資価値は十分にある」(後藤CFO)
SBGは4月1日、OpenAIに対して最大400億ドル(約5兆9808億円)を出資し、このうち最大100億ドルは外部から調達する方針を発表している。100億ドルはSBG傘下の投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド2」(SVF2)から出資済みで、さらに2025年末までにOpenAIの法人再編(営利組織への転換)が完了した場合、最大300億ドルを追加出資する予定だ。条件が満たされない場合、SBGが100億ドルのみを出資。投資総額は最大で200億ドルになる。
OpenAIは、2019年から非営利団体が営利企業を管理する独自の構造で運営していた。24年12月には、営利企業を株主価値の最大化と社会利益の双方を考慮する企業形態に変更し、意思決定機能も移行すると発表した。しかし25年5月5日に、転換を取りやめると発表。非営利団体が取締役会の任命や主要な株主としての地位を保持するとした。この発表は報道各社から「OpenAIが営利化を断念」と報じられた。
OpenAIの発表について「誤解が多いが(OpenAIは)営利化を断念した訳ではない。株主にあたる非営利団体の下に、事業推進できるビジネスを作っていく方向性で同意をしているのだと思うが、具体的にはまだ何も起きていない」と後藤CFO。今後については「法人再編の成立を期待しつつ、最大300億ドルの追加出資を前提に財務計画を組んでいきたい」とした。
SBGはOpenAIと共同で、日本企業向けのAIエージェント「クリスタル・インテリジェンス(仮称)」の開発や、AI用の大規模データセンター「Stargate」プロジェクトの構築にも取り組んでいる。後藤氏は会見で「StargateはOpenAIとともに、社会変革の起爆剤になるだろう」と期待を語った。
SBGはの2025年3月期(24年4月1日〜25年3月31日)連結決算は、売上高7兆2437億円(前期比7.2%増)を計上。純利益は1兆1533億円(同666.2%増)で、4年ぶりの最終黒字となった。英Arm事業の増収に加え、中国Alibaba、独T-Mobile、独Deutsche Telekomなどの株式値上がりで利益を上げたほか、SVFでは中国ByteDanceの投資利益が貢献した。後藤CFOは「企業価値そのものではないが、これはこれでうれしいこと」とした。
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