マルハニチロ(東京都江東区)は9月9日、事業化レベルでのサンマの試験養殖に成功したと発表した。同社グループのマルハニチロ養殖技術開発センター(鹿児島県南さつま市)とふくしま海洋科学館(福島県いわき市)が協力した。
今回マルハニチロでは、事業レベルに準じる飼育密度(一定空間で飼育する魚の数の割合を示す値)での試験養殖に成功した。マルハニチロ養殖技術開発センターでは2023年10月、サンマ養殖の研究に着手。その後、24年にはサンマの出荷目安である100gを超えるサイズへの成長や、人工授精にも成功したと発表していた。
サンマの希少性は年々増しており、養殖への期待が高まっているという。天然サンマの水揚量は、08年の35.5万トンから21年には2.0万トンまで減少。卸売価格も、08年の65円/kgから21年には621円になるなど、10倍近く高騰している。
マルハニチロは今後も、サンマ養殖の事業化に向けた技術開発に取り組んでいく。
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