和牛を“シマウマ柄”にする虫よけの研究がイグ・ノーベル賞を受賞 日本人の受賞は19年連続
ユニークな研究に贈られるイグ・ノーベル賞の授賞式が行われ、“シマウマ模様の塗装による牛の吸血昆虫対策”を研究した兒嶋朋貴さんらの研究グループが生物学賞を受賞した。
人々を笑わせながらも考えさせるユニークな研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」の授賞式が米国で9月18日(現地時間)に行われ、“シマウマ模様の塗装による牛の吸血昆虫対策”を研究した農業・食品産業技術総合研究機構の兒嶋朋貴さんらの研究グループが生物学賞を受賞した。日本人のイグ・ノーベル賞受賞は19年連続。
愛知県農業総合試験場の畜産研究部に所属していた兒嶋さんは、シマウマのしま模様をハエが嫌うという比較研究を基に、6頭の黒毛和牛に数パターンのしま模様を描いてハエを忌避する行動が減るかを京都大学と共同で検証した。
すると、シマウマのように白と黒のしま模様を描いた牛は、寄ってきたハエの数が、描いていない牛や黒でしま模様を描いた牛に比べて有意に減った。ハエを忌避する行動の頻度も低く、農薬などを使わずにアブやサシバエといった吸血昆虫から家畜を守る手段になると分かった。
2019年に発表した論文は、学術誌「PLOS ONE」に掲載された。
受賞式では、あいさつ中にハエ(を描いたプラカード)にまとわりつかれた兒嶋さん。上着を脱ぎ、白と黒のしま模様のシャツ姿になるとハエが退散するというパフォーマンスで喝采を浴びた。
イグ・ノーベル賞は米国の科学雑誌「Annals of Improbable Research」(風変わりな科学雑誌)が主催するノーベル賞のパロディー。一風変わった「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」を讃え、人々の科学や技術への関心を高めることを目的に1991年に創設された。
日本人のイグ・ノーベル賞受賞は2007年以来、19年連続。2024年は“哺乳類が肛門で呼吸する方法”を発見した東京医科歯科大学の武部貴則教授らの研究チームが生理学賞を受賞した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
お尻で呼吸する「EVA法」、イグ・ノーベル賞を受賞 日本人の受賞は18年連続
イグ・ノーベル賞の授賞式が12日(現地時間)に行われ、“肛門で呼吸する方法”を発見した日本医科歯科大学の武部貴則教授らの研究チームが生理学賞を受賞した。
「電気味覚」の明大・宮下教授らがイグ・ノーベル賞受賞 電気を使って“味を変える”研究とは?
ユニークな研究に贈る「イグ・ノーベル賞」の2023年の受賞者が発表され、明治大学・宮下芳明教授と東京大学・中村裕美特任准教授が栄養学賞を受賞した。微弱な電気を食器などに流すことで、飲食物の味を変える「電気味覚」研究が評価された。
通勤・通学客でごった返す朝のJR新宿駅で実験する「ラウンドアバウト」とは?
JR新宿駅のコンコースに歩行者の「環状交差点」が出現する。「世界的にも珍しい試み」とJR東日本.。
イグ・ノーベル賞に千葉工大“つまみ操作”の研究 日本人の受賞は16年連続
千葉工業大学の松崎元(げん)教授らの研究チームが円柱形つまみの回転操作における指の使用状況についての研究でイグ・ノーベル賞を受賞した。
イグ・ノーベル賞、日本人が15年連続受賞 “歩きスマホ”巡る研究で
人々を笑わせる研究に対して与えられる賞「イグ・ノーベル賞」の動力学賞を、京都工芸繊維大学の村上久助教授などで構成された研究チームが受賞した。研究内容は、歩行する集団の一部が“歩きスマホ”をすることで、全体の歩く速度が遅くなることの調査。日本人の受賞は15年連続。


