Anthropicの「Claude」、米国外利用が8割 楽天は開発時間を79%削減
Anthropicがグローバル展開を本格化する。新責任者を迎え、欧州とアジアでの拠点強化を進める。売上高ランレートは50億ドルを超え、企業ユーザーは30万社を突破した。信頼性の高いAIシステムで世界中のエンタープライズ需要に応える姿勢を示している。
米Anthropicは9月26日(現地時間)、事業のグローバル展開拡大の一環として、Google CloudのEMEA社長やUnityのCEOなどを歴任したクリス・シアウリ氏を国際事業担当マネージング・ディレクターに迎えたと発表した。同社の売上高は、2024年初頭には8700万ドル規模だったが、2025年8月時点で50億ドル(約6900億円)超のランレートに達したという。シリーズFでの資金調達で同社の評価額は1830億ドルとなった。
需要拡大に対応するため、Anthropicは欧州とアジアでの拠点強化を進める計画だ。欧州ではダブリンやロンドンに100人以上の採用枠を設けるほか、チューリッヒに研究拠点を新設する。アジアでは東京に初の拠点を開設しており、今後1年をかけて現地体制を拡充する予定だ。同社は、安全性と信頼性を重視したAIシステムを世界各地で提供し、拡大を続けるエンタープライズ需要に対応していくとしている。
顧客基盤の拡大も顕著で、2年前には1000社未満だった企業ユーザーが、現在では30万社を超えている。Claudeの利用の約8割は米国外からで、1人当たりの利用量では韓国、オーストラリア、シンガポールが米国を上回る。顧客には欧州議会や韓国SK Telecom、日本の楽天などが含まれ、文書処理や顧客対応、コード生成といった領域で成果を上げている。例えばSK Telecomでは数百万のユーザーに対する顧客サービスの品質が34%向上し、楽天はClaude Codeを使用して機能開発時間を79%削減したという。
Anthropicは、グローバル展開を続ける中で、企業が最も重要な業務を安心して遂行できる、信頼性が高く扱いやすいAIシステムの構築に引き続き注力していくと語った。
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