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「古生物ぬい」のこだわり、そして「Nuiパン」の発想力 ブームを支える開発者たちに聞いた、ぬいぐるみ作りの“秘訣”とは分かりにくいけれど面白いモノたち(8/8 ページ)

国立科学博物館の特別展「大絶滅展ー生命史のビッグファイブ」の特設ショップには、沢山の古生物をモチーフにしたぬいぐるみが並んでいる。これがなかなか良くできていて魅力的なのだ。

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 「ロールの巻きで言うと、この『シナモンロール』の巻きの最後の部分は、試作では縫い目が巻き終わりに真っ直ぐついてたんですが、曲線になっていた方がリアルかなと思って。巻き終わりの位置もランダムに見えるようにして、手で巻いている感じを出しました。あんまり気がつかれないとは思うんですけど」と伊藤さん。この細部まで、パン屋さんが作っている感に持っていくアイデアもすごいけれど、それに応える製造技術もすごい。


オラフをモチーフにした「シナモンロール」(チェーンストラップマスコット、2200円)。この巻いている感のリアルさと、砂糖のコーティングの雰囲気の良さに注目©Disney

中央のイチゴは刺繍を使って立体感を出し、左右のイチゴはリアルなプリントにすることで、やり過ぎないリアルさを出すことに成功している

 「私が個人的に気に入っているのは、『マリトッツォ』の苺を、真ん中は刺繍にして、その他はプリントにしたところだったりします。全部刺繍でやっちゃうと見た目が重くなるというか、見ていて疲れちゃうと感じました。転写の部分と刺繍の部分のバランスをとってあげると高級感もあるし、つくり込みのバランスも良くなるかと思っています。モチーフが食べ物なので、そういうバランスは気をつけています」と伊藤さん。

 出来ることは全部見せるというのではなく、ぬいぐるみとしての魅力を損なわない伊藤さんのバランス感覚が、この製品をここまで魅力的にしているのかもしれない。自分でもカバンに付けているという伊藤さんは、まず、自分と世代が近い、大人の女性も楽しめるものにしたかったのだそうだ。

手に取ってほしい相手に向けてまっすぐ

 「大絶滅展」のぬいぐるみを作った木村さんは、子どもが楽しめるを第一に考えていると話していて、どちらも、そのターゲットに向けてまっすぐ作られているのだけど、どちらも「手に取ってほしい」相手を正しく把握している点で共通している。そして、それが他の世代にも魅力的に映るのが、今のぬいぐるみが持つ新しさのように思う。


各商品には、それぞれイラスト付きの紙タグがついているのだが、これが街のパン屋さんの手書きのプライスカードをイメージしたものになっている。「ぬいぐるみと一緒に飾ってもらえるようなカードを目指しました」と伊藤さん

 「今、すごく、ぬいぐるみをバッグなんかに付けることが流行っていますが、それは自分の個性の表現としてマスコットを付けたりみたいな、そういうことかなと思っているんです。ただキャラクターのものをバッグに付けるというのは、私自身あんまりなかったですが、こういう『Nuiパン』みたいなものなら、シンプルに付けられるっていうか、何にでも合わせられるかなと思って作りました。言ってしまえば、ブランド物とかのバッグに付けても可愛いし、シンプルなバッグに付けてもワンポイントになるし、小学生のランドセルでも可愛く付けてもらえることは、意識してデザインしています」

 この伊藤さんの言葉にあるように、今や、ぬいぐるみをバッグに付けたり持ち歩いたりが当たり前になっている。それが不自然に見えないのは、可愛いとか、おいしそうとか、シンプルとか、マニアックといった、様々な要素の境界線を曖昧にするようなところが、現在のぬいぐるみにはあるからなのだろう。そういう「緩いけれど甘くない」感じが、ブームの背景にあるように思う。

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