いまさらながら進化する「ビデオ三脚」 中国勢の参入に、老舗メーカーも新機種で応戦:小寺信良の「プロフェッショナル×DX」(3/3 ページ)
映像制作に欠かせない三脚が今、静かな革命を迎えている。Vlog需要の拡大と中国勢の参入により、低価格化と技術革新が同時進行。シングルロック機構、180度開脚、スマホ対応ヘッドなど次々登場する新機能に、老舗メーカーも危機感を募らせる。Inter BEE 2025で見えた三脚業界の最前線を追う。
シングルロック以上の操作性を持つSmallRig
中国・深圳のメーカーである「SmallRig」(スモールリグ)は、その名の通り前身はカメラのカメラケージやリグ専門メーカーだったが、次第に撮影周辺機器の総合メーカーに成長した。現在は三脚はもちろん、バッテリーやレンズフィルター、マイクなども手掛けている。
24年に新製品として導入された三脚「SmallRig x Potato Jet TRIBEX SE」は、X-CLUTCH油圧テクノロジーを装備した。Potato Jetは多数のフォロワーを持つ撮影系インフルエンサー/クリエイターGene Nagata氏のブランドで、SmallRigとの協業は2回目となる。
X-CLUTCHは、横に伸びたレバーを握るだけで足3本のロックが同時に外れるというもので、全体を持ち上げておいてハンドルを握るだけで一斉に足が伸び、ハンドルを離すと固定される。一瞬で設置が完了するという機構だ。
従来のシングルロックは、足1本につき1箇所のロックがあり、足3本だと3箇所のロックを外す必要があるが、それを1回で済ませようというわけである。ロックハンドルは折りたたんで、三脚全体のハンドルとして利用できる。
衝撃的なのは価格だ。ビデオ撮影用油圧フルードヘッドがついても6万6890円という価格は、中国メーカー以外ではなかなか実現できないところだ。
他にも有望な中国メーカーは多いが、メーカー同士は非常に複雑に協業しており、どこまでが自社製品なのかはっきりしないところがある。例えばComanは2010年創業のトラベル三脚や1脚などを得意とするメーカーだが、昨今カメラアクセサリーで人気が出てきたUlanziにも製品を提供しており、同じ製品と思われるものがComanとUlanziの両方で売られている。こうした販売戦略が取れるのも、低価格である理由なのかもしれない。
とはいえSachtlerもVintenと協業しており、上記のFlowtech75はVintenからも販売されている。三脚メーカーはお互い開発力とブランド力を持ちよって、商品展開スピードを加速させるという方向性にあるようだ。
それだけ中国メーカーの追い上げを気にしているということだろう。まだまだ品質では……と言っていると、あっという間に追い抜かれる。老舗三脚メーカーも、ここ数年が正念場になりそうだ。
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