「インターネットの父」ヴィント・サーフ氏、Googleを退任へ
Googleの副社長兼チーフ・インターネット・エバンジェリストを務めるヴィント・サーフ氏が、近く同社を退任することがカンファレンスで明らかになった。サーフ氏はTCP/IPを開発した「インターネットの父」の1人。在籍20年での退任となり、イベントではAIエージェントの標準規格化の必要性についても語った。
米Googleで副社長兼チーフ・インターネット・エバンジェリストを務めるヴィント・サーフ氏(83)が、1週間後に同社を退任する──。米非営利団体Laude Institute主催のカンファレンス「Open Frontier」のパネルディスカッションで明らかになった。
サーフ氏は、ロバート・カーン氏と共にインターネットの基盤技術であるTCP/IPプロトコルを1970年代に開発した人物として知られ、「インターネットの父」の1人と称される。この功績により2004年にACMチューリング賞を受章したほか、日本国際賞やクイーン・エリザベス工学賞など数多くの国際的な賞を受けている。Googleに加わる以前は、米通信大手MCIで技術戦略担当の上級副社長などを歴任していた。
サーフ氏は2005年10月にGoogle入りし、20年以上にわたって副社長兼チーフ・インターネット・エバンジェリストとして、インターネット標準化やグローバルな政策議論への関与を続けてきた。
退任を明らかにしたのは、RISCプロセッサアーキテクチャの共同開発者として知られるカリフォルニア大学バークレー校のデイブ・パターソン氏。同氏はこのパネルの人選を進める過程でサーフ氏の退任を知ったといい、「このパネルを準備する中で、ヴィント(サーフ氏)はGoogleに20年以上在籍しており、今日から1週間後に退任することを知った。素晴らしいキャリアに拍手を送ろう」と会場で明かし、大きな拍手が送られた。Googleからの正式発表はまだない。
サーフ氏自身は、退任そのものについてはほとんど言及せず、パネルの多くの時間をAIエージェントに関する議論に充てた。エージェント同士の通信手段として自然言語を用いることには懐疑的な立場を示し、「英語が最善の選択だとは思わない。柔軟性はあるが曖昧さも伴う。エージェント間のやりとりには精度こそが重要だ」と述べたほか、伝言ゲームになぞらえ、複数のAIエージェントが自然言語でやり取りする様子を「見ていて恐ろしくなる」と表現した。さらに、複数のAIエージェントが協調して動く「エージェント型AI」の広がりが、業界全体を再びオープンな標準規格へと向かわせるとの見方を示した。
パターソン氏が70年代に大学院生として初めてサーフ氏に会った際の思い出として「彼はいつもシャツにネクタイ姿だった、私が知る中で最もおしゃれなコンピュータ科学者だ」と振り返ると、サーフ氏は笑いながら「その通りだ。ベストも着ていた。長髪や鼻ピアスではなく、服装で人と違うことをアピールしたかったんだ」と応じた。
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