キヤノンとセイコーエプソン両社が9月28日に発表したプリンタ新製品は、従来のイメージを一新するスタイリッシュなデザインを採用し、デジカメ画像のダイレクトプリント機能も標準装備した機種を多くラインアップした。(関連記事1)、(関連記事2)。
ガートナージャパンの調査によると、2003年の国内インクジェットプリンタ出荷台数は521万5000台で、前年比マイナス9%(関連記事参照)。台数・価格ともに下落し続けているのが現状で、既に市場は成熟したとの見方が強い。
両社は、スタイリッシュなデザインとダイレクトプリント機能により、プリンタをPCの周辺機器から“リビングに置けるデジカメ画像印刷機”に転換。「デジタル家電」としてリビングを攻略し、新規需要を開拓していく作戦だ。
キヤノンはハイエンドを、エプソンは普及機をスタイリッシュに
キヤノンはハイエンド・ミドルクラスモデルにキューブ型の新デザインを採用。新製品発表会では縦置きした「iP8600」に赤いリボンをかけて展示し、デザイン性の高さをアピールした。
「デジタルカメラや、DVカメラ、DVDレコーダーなど、世の中にデジタル機器があふれている時代。プリンタを書斎からリビングに開放することで、新しいプリントスタイルを提案できる」(キヤノン販売の村瀬治男社長)。
キヤノンは9月22日に、スタイリッシュデザインのダイレクトプリント対応プリンタ「SELPHYシリーズ」を発表(関連記事参照)。リビングルームで使用することを想定し、メモリカード内の画像をTV出力できる機能を備えたモデルをラインアップするなど、リビング攻略を着々と進めている。
エプソンは複合機でもリビング進出を狙う。実売予想価格2万円台の低価格モデル「PM-A700」は、つややかなホワイトボディを採用。サイズもコンパクトに抑えて「ホームユースを意識した」(セイコーエプソンIJP企画推進部の小野勝広課長)。プリンタのミドルクラス・低価格機もホワイト1色でスタイリッシュに仕上げている。
エプソンも3月に、リビング向けPCレスプリンタ――女性をターゲットにした「Colorio:me」や、TVラックに置くことを想定したビデオデッキ型「PM-D1000」(関連記事参照)――を発表した。Colorio:meは特に好調に売れているという。
また、9月16日に新製品を発表したレックスマークインターナショナルも、ホワイトを基調に曲線を多用したデザインのモデルをラインアップ。世界市場に比べ存在感が薄い国内市場に本腰を入れ、従来の機能的なデザインから方向転換。日本の住宅に合うデザインを目指した。
国内ユーザーのニーズを取り入れた結果、同社として初めてダイレクトプリントにも対応した。「デジカメやカメラ付き携帯電話からの画像プリントニーズの高まりに配慮した」(同社)。
市場開拓の余地はまだある
「デジカメ画像をDPE店に持ち込んでプリントしているユーザーが自宅プリントに切り替えれば、市場は広がるはずだ」と、キヤノン販売の村瀬社長は言う。新製品は、簡単・高画質にデジカメ画像をプリントできることをアピール。銀塩DPE需要を取り込む。
エプソンは、複合機の強化で売り上げアップを目指す。縮小傾向が続くインクジェットプリンタ市場だが、複合機だけは高成長が続いているからだ(関連記事参照)。
昨年は1機種だった複合機のラインアップを今年は4機種と一気に拡張。「プリンタのマルチファンクション化はまだまだ進む」(エプソンの草間三郎社長)と見る。「今夏、インクジェットプリンタ市場に占める複合機の割合は30%弱だったが、複合機新製品の投入で、これを45%にまでアップさせる」(エプソンの平野精一情報画像事業本部長)。
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