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6色インクを採用したキヤノンの複合機最上位モデル――PIXUS MP900(1/4 ページ)

キヤノンの複合機ラインアップが大幅に整理された。従来までの2機種6モデルから、3機種4モデルへと変わり、フォト環境を主眼にした新機種の「PIXUS MP900」が加わった。複合機では他社に出遅れていた感のあるキヤノンだが、巻き返しはなるだろうか。

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 キヤノンの「PIXUS MP900」(以下、MP900)は、PIXUSシリーズにおける複合機ラインアップの最上位モデルだ。6色インクの採用、フィルムスキャン対応、液晶モニタの搭載と、従来モデルとは比較にならないほど進化した。意外なようだが、これら3つの要素を備えたのは、キヤノンの複合機ではMP900が最初である。


PIXUS MP900

 プリンタ部はオリジナル仕様だが、強いていえばシングルファンクション機の旧モデル「PIXUS 960i」に近いという。染料の6色インク(CMYBk、フォトCM)を使い、各色512ノズル、全弾2ピコリットルで印刷する。もちろん全色が独立インクタンクだ。インクは新開発の「BCI-7系」で、純正フォト用紙との組み合わせで高い耐候性を実現する「クロマライフ100」に対応する。印刷物が退色しない目安は、アルバム保存で約100年、フォトフレーム保存で約30年、そのまま室内に飾った場合で約10年だ。


染料の6色インクを使用(CMYBk、フォトCM)

 スキャナ部のイメージセンサーはCCDで、光学解像度は3200dpiだ。フィルムスキャンにも対応し、35ミリネガ/ポジスリーブ×2列(最大12コマ)、マウント×8コマを同時に連続スキャンできる。スリーブ用とマウント用のフィルムホルダーが付属し、そのうち1枚は原稿カバーの内側に収納可能だ。35ミリフィルムより大きいブローニーなどのフィルムには対応していない。

 ただ、フィルム用のごみ傷除去機能を備えていないのは、非常に残念だ。キヤノンのフィルム対応フラットベッドスキャナ「CanoScanシリーズ」には、赤外線のハードウェア処理でフィルムのごみ傷を高精度に取り除く「FARE」という優れた機能があるのだが、MP900には採用されなかった。ソフトウェア処理でもいいので、フィルムのごみ傷対策は用意してほしかった(反射原稿ではソフトウェア処理のごみ傷低減が利用できる)。

 ペーパーハンドリング関連では、背面の給紙フィーダに増設するフォトペーパーカセットが付属する。給紙フィーダとフォトペーパーカセットは併用可能だ。フォトペーパーカセットにはL判やはがきといった小さいサイズの用紙を入れておき、物理的なダイヤルでフィーダ給紙とカセット給紙を切り替えることができる。また、CD/DVDレーベル印刷にも対応しているが、付属のCD/DVD専用トレイを挿入するには、同じく付属のアタッチメントを取り付ける必要がある(CD/DVD印刷以外は取り外す)。


背面の給紙フィーダーとフォトペーパーカセット

CD/DVDレーベル印刷にも対応

 これらは昨年までの仕様で、今年の新しいシングルファンクション機の「SUPER PHOTO BOX」が持つ、新マルチペーパーハンドリング(2way給紙、自動両面印刷、CD/DVD専用トレイガイド内蔵。関連記事参照)ではない。

 ダイレクト印刷は、メモリカードスロットとデジカメ直結、赤外線(機能名はプリントビーム)だ。メモリカードスロットは全部で4スロットあり、合計12種類のメディアに対応している。miniSDカードなど一部のメディアはアダプタを介してセットするが、xDピクチャーカードにもアダプタが必要なのは従来モデルから変わっていない。xDピクチャーカードもある程度は普及が進んでいるので、そろそろ専用スロットを搭載するべきだろう。


メモリカードスロットは右下に配置

 メモリカードスロットは、PCからは1つのリムーバブルドライブとして認識されるため、異なるメディア同士のデータコピーはできない。メモリカードに書き込むときも、MP900本体の液晶メニューから「書き込み禁止」をオフにする必要がある。

 デジカメ直結規格は、業界標準のPictBridgeとキヤノン独自のBubble Jet Directに対応する。赤外線は、カメラ付き携帯電話で撮影した画像を、携帯電話からワイヤレス通信で直接印刷するものだ。

やはり液晶モニタは偉大。豊富な機能を分かりやすく操作できる

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